退職時期と退職理由の伝え方
公務員試験に合格して、ついに今の会社を辞められることはハッピーでした。しかし、退職を会社に申し出ることはストレスでした。
部下を辞めさせた場合、上司(管理職)の評価は悪くなります。人間関係も悪くなります。日本は永年勤続の社畜型社会です。世の中の普通の人の感覚では、「転職=悪」なのです。
私は人事部勤務でしたので、こういう事情を詳しく知っているだけに、言い出しにくい状況でした。しかし、早めに毅然とした態度で申し出ることが重要なのです。一般的に、適切な時期は2箇月前か3箇月前です。
40歳代以上の先輩の中には、今までかわいがってくれていたのに、会社を辞めることが伝わると手のひらを返したように冷たくする人も多くいました。普通に、突然無視され出したりします(笑)。
毎日ストレスを感じますが、所詮、社内だけの付き合いだったと割り切って考えばいいと思います。
会社を辞めた後まで付き合いが続くのは、ほんの一握りの友人だけです。私の場合は、同期や仲のよかった後輩くらいだけでした。それも、数年も経ってくると、かなり付き合いは薄れてきます。
退職理由もはっきりと伝える必要があります。社会人の公務員試験に合格した場合、そのことをはっきりと伝えることです。曖昧にしたりごまかしたままでは、話は進みません。
仕事を辞めてから受験は不利
社会人の公務員試験の要件である、例えば勤続5年以上を既にクリアしている場合、どうしても会社を辞めたくて、まず会社を辞めてから公務員試験を受けようと考える人もいます。
しかし、これは最悪の選択肢です。まず、社会人の試験は競争率が高いので確実に合格する保証はないという数学的な確率論の理由があります。
また、そういう競争率を超越して必ず合格しそうな実力の持ち主でも、会社を辞めてから受験した場合、ほぼ合格しません。
私の市役所では、社会人採用の職員は全て仕事を続けながら受験して合格しています。退職してブランクのあった人は1人もいません。仕事の経験を市役所に活かすという趣旨ですので、やはり現役で働いている人が有利なのです。
一方、第二新卒の場合は、話は別です。一旦は民間会社に就職したものの、気が変わって公務員試験に挑戦する場合です。
大卒の上級職で受験する場合、今の仕事を辞めていても特段不利にはなりません。就職せずに公務員浪人をする人がいるくらいですので、同じ扱いになります。
そもそも上級試験は筆記試験に多大な勉強時間を投入しなければなりません。仕事を続けながらでは、1次試験の筆記試験で落ちてしまうことがあり得ます。
このように第二新卒に限っては、今の会社を退職してから公務員試験を受験するのも選択肢としてはアリなのです。
辞表の書き方
上司に退職することを伝えて、話し合いの中で、何月何日付けで退職するかが決まってからはじめて辞表を書き提出します。
公務員試験に合格していて、退職する時期が既に決まっている場合でも、まずは口頭で退職したいことを伝えます。いきなり辞表を持っていく必要はありません。
バシーーーン!
ドラマでよく見られますが、辞表を予め懐に仕込んでおいて、いきなり上司に叩きつけるのは、マナーが悪く常識を疑われてしまうので避ける方が賢明です。退職日など、詳細な話が固まってから進めるのです。
私の会社は辞表の様式が決まっていましたので、イントラネットから辞表を印刷して、必要事項を手書きで記入して、上司で提出しました。特段、封筒に入れる必要はありませんでした。
ドラマでありますよね。封筒に「辞表」って書くつもりが「自表」って書き間違えるとか。そういう封筒は不要で、紙ペラ一枚で辞められました。
公務員になると伝えたら引き止められた私の経験
私のとった手順は次のとおりです。
まず、退職を切り出した時期ですが、退職予定日のちょうど2箇月前です。引き継ぎの都合、後任者の配置の都合がありますので、これがリミットです。これ以上遅いと、唐突感がすごくて、周囲の従業員がちょっと引きます(笑)。
逆に早く言いすぎるのもよくありません。引き継ぎが早めに終わってしまうと会社に行きづらいです。結婚して寿退職ならいざ知らず、別の職場に転職することが決まっているのに、退職日まで毎日出勤するのは、意外と苦痛です。急に、周りの従業員が優しくなくなるのです。
上司に退職を伝えるタイミングも重要です。曜日と時間ですが、金曜日の定時が終わったあと、夜7時くらいに言い出しました。
上司が一人で会議スペースでタバコを吸いに行っていたところに入っていき、「折り入って話があります。」と切り出しました。そのまま、会議室の扉を閉めて、小一時間掛けて事情を説明しました。
上司は、懸命に引き止めました。社内では話をしづらいということで、外で晩ご飯を食べながら説得をされ続けました。課長が言うには、「もったいない。辞めるな。」ということだけでした。「今まで教育をしてきた。これから、その恩を返す時だ。」とも言っていました。
私は、絶対に辞めるの一点張りでした。コツは、絶対に妥協しないことです。「辞めたい。もう次の会社も決まっている。」の一点張りで押すことです。
言葉だけの妥協、リップサービスは意味がありません。一生懸命に準備をしてきて、公務員試験に合格した状況でした。上司1人の言葉で私の意志が変わることなどあり得ません。
「両親にも相談している。もう決めたことです。」の一点張りです。雰囲気に押し流されて、「再度、考えて回答します」など、妥協した答えは最悪です。
今まで散々苦労して、転職試験に合格して、今更再考することなどあり得るでしょうか。あり得ません。大切なことですので反語を使いました(笑)。
私のケースでは、結局、夜11時まで押し問答が続き、その日はお互いに帰りました。
翌週の月曜日の朝、課長から退職を了承する旨の話がありました。週末の間に課長から部長や役員に相談したようです。いくら直属の上司と言えども、課長の判断ひとつで退職を了承することはできないのです。
退職が認められた後にも、まだ関門があります。退職の撤回が無理だとなれば、今度は、退職時期の先延ばしの説得が始まります。これは定石です。
私の場合は、4月に入庁することが決まっていましたので、この説得工作に対しても、無理の一点張りでした。まさか、市役所の採用日を自分だけ7月に変更してもらうことなんてできないのですから。
「市役所に電話して、採用を取りやめてもらうようにお願いする。」とまで、上司に言われました。これに対しては、いくら抗議をしても、合格が不合格に変わることはない旨を申し上げて、迷惑行為である旨を伝えました。
これは、不合格者がいくら抗議をしても合格に変わらないことと同じです。
結局、ただの脅し文句で、私の上司は電話をしませんでした。一応、私の会社は有名メーカーで、行政とも取引が多くあり、そんなことをすると会社の看板にキズが付くので、実際にすることはないとは思っていました。
もし、4月採用に対して、12月末日で退職してしばらく自由な時間を満喫しようとしているだけなら、会社との話し合いの中で1月末日まで伸ばすなど、退職時期の妥協はしてもいいとは思います。
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