コネなしでは技能労務職員に転職できない
世の中には、できるものならコネ採用や縁故採用で楽して公務員になりたいと思っている方もいるかと思います。また、そうでなくても、自分にはコネがないけど不利にならないかと心配になる方もいるでしょう。
ここでは、コネ採用の正しい知識を理解していただくことにします。私が転職した経験者採用試験というのは、いわゆる試験採用です。大卒コースの上級試験や、高卒コースの中級試験も試験採用です。
そして、市役所の採用にはもう1種類あります。選考採用です。
選考採用はこれらとは全く異なる採用形態なのです。市役所には技能労務職員という職種があります。技能労務職員は事務や技術のデスクワークではなく、常に現場業務に携わります。
清掃局のごみ収集員や水道局の浄水場の三直勤務の職員、土木事務所の現場作業員、学校給食のおばちゃん、用務員さんなどが代表的なものです。
私の市役所では、試験採用ではコネ採用はありませんが、技能労務職員の選考採用では、多くがコネ採用で決まっています。
選考採用は、筆記試験や面接試験で点数を付けて、その上位から採用していくわけではありません。ねじ回しの作業効率を図ったり、反復横飛びなどの運動能力を測定して、一定の基準を超えている人を採用します。
点数がありませんので、誰を採用してもいいのです。違反ではありません。必然的にコネや縁故が強力な人が選ばれるわけです。
市議会議員のコネが最も強力なコネ
強力なコネの1つとして、市議会議員の紹介や推薦があります。市役所の職員は市議会議員には頭が上りません。先生から内々に推薦があれば考慮するしかありません。
先生の面子を立てて、こういうことで恩を売っておけば、後々、市政の運営が楽になるのです。
市議会議員というのは国会議員とは違って、ただのおじさんやおばさんと変わりません。地域の有力者というだけです。
選挙の際に積極的に支援したり、政党の運営にボランティアで関わることで仲良くなっていく方法があります。公明党でしたら創価学会ですし、共産党でしたら赤旗の購読など、宗教から攻めるパターンもあります。
私がこれまで普通に生活してきた経験では、市議会の先生と接点を持ったことは全くありませんでしたし、困ったときに頼ろうと考えたこともありませんでした。
しかし、世の中には、ご近所の困りごとから採用の斡旋まで、議員の先生に相談する人が結構いるのです。これは市役所で働き始めてはじめて知ったことでした。
同和団体のコネも影響力が強い
私の市役所では、同和団体のコネが最も有効です。過去の話ですので、有効でしたと言うほうが正しいかもしれません。
その昔、同和地区で生まれ育った人は、就職面でも差別を受けていました。就職差別というものです。そのため、雇用対策事業として、市役所で一定の人数を採用して受け入れていました。
同和団体の推薦によって、誰を採用するかを決めていました。採用権を握ったことで、結果的に同和団体は強大な力を持つようになってしまいます。
どれだけ不良な人材であっても、推薦さえあれば採用されます。繰り上がりの足し算ができない人もいます。現場作業ですので支障はありません。
同和団体から推薦を受けて合格していますので、市役所に採用されたという意識は薄く、業務面でも市役所の言うことは聞きません。団体の言うことを聞くのです。
そして、仕事をする意識が全くなくなり、中抜けしてパチンコに行くなど、一時期、全国的に不祥事が表面化しました。
同和団体の力が弱くなり、同じ頃、国による同和対策事業が終結してしまいました。その結果、採用枠がなくなったのです。
既に採用された職員は市役所の中で生き残っていて、同和団体も一定の影響力を持っているのは事実ですが、少なくとも採用へのコネの力はなくなりました。
家族のコネもあり得る
よくあるパターンでは、職員が退職する年に、入れ替わりでその子どもや甥っ子などの親戚を採用することがあります。文字通り縁故採用です。
身内に市役所の技能労務職員として働いている人がいることが前提ですので、今からコネを探そうという方には無縁のことかと思います。
スポーツのコネも有効である
それぞれの市役所の中で盛んな体育活動というものがあります。相撲部やラグビー部などです。
私の市役所では、そのコネは脈々と受け継がれていますので、地元の高校で活躍した学生は採用されやすくなります。
これは割と健全なコネのような気もしますが、こういう色々なコネを手繰り寄せて、採用を勝ち取っているの人もいるのです。
選考採用の採用数は激減している
こういうお話をしますと、選考採用でもいいので市役所に入りたいと思う方もいるかと思います。しかし、選考採用の人数は極めて少なくなってきています。
まず、技術の進歩で現場業務という仕事がなくなっています。機械に置き換わって、自動化されているのです。
また、市役所の財政は火の車ですので、こういう誰にでもできる仕事は民間委託を進めています。公務員よりも請負の民間会社の方が給料が安いので、安上がりなのです。
一旦採用した職員を首にすることはできません。技能労務職員の余剰人員を多く抱えた状態になっており、定年退職により自然減を待っているのです。
新たに新人を雇うことは稀で、年齢構成ピラミッドの関係で数人を採用する程度になっています。いくらコネを持っていても、採用者数が余りに少ないので、確実に合格するのは難しい状況です。
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