市役所の福利厚生制度は充実していない
公務員は福利厚生が充実!と言われていますが、これはデマです(笑)。私の前の会社である一部上場企業の方がよっぽど福利厚生制度が充実していました。
私の会社では、財形貯蓄に利子補給金が出て、利回りは驚きの年5%でしたし、食堂は月2,000円で食べられました。共済会の会費の半分は会社が負担してくれていました。
人事部にいましたのでこの辺りの事情には詳しいのですが、いわゆる法定外福利厚生費は、1人当たり年間50万円を費やしていました。
公務員に転職したとたん、利子補給金もありませんし、共済会の会社負担金もありません。そもそも職場に食堂がありません。法定外福利厚生のレベルは非常に低いと思います。
田舎の地方都市の市役所でしたら、市内にある中小企業と比べた場合、それよりかはマシだという感じです。
私の市役所は政令指定都市ですので、周りに大企業は多くありますが、それらの会社の福利厚生と比較すると見劣りするものです。
公務員の福利厚生が厚遇だということは一時期にメディアで叩かれました。事実、私の市役所でも一昔前まではなかなかの厚遇でしたが、色々と削減されてきた歴史があります。
その結果、世間のイメージでは市役所の福利厚生は充実しすぎていると刷り込まれてしまいましたが、現在の状況は非常に質素になってしまいました。
昔はスーツが支給されていた
まず、昔は市役所の福利厚生でスーツの支給がありました。これは私が入庁した年に廃止されましたので、私はもらったことがありません。市役内では制服と呼ばれていましたが、いわゆる普通のスーツです。
すごいことに、各人ごとに採寸して作成するのです。いわゆるオーダーメイドで作成してくれるのです。ただ、残念なのは全員が同じデザインですので、「おそろい」になってしまうのです(笑)。
普段の仕事で毎日着る必要はなくて、手持ちのスーツの1つとして使う形です。「制服」と言っていましたが、実際には「スーツ」です。
また、「支給」としてしまいますと、現物給与と見なされて課税されてしまいますので、「貸与」という形を取っていました。実際には返却することはありませんが。
スーツを支給することを、制服を貸与すると言い換えていたのです。そういう言い方をすると、消防士の制服みたいな、絶対に必要なもののように聞こえるでしょ?違うのに。
正に公務員の言葉だと感動しました(笑)。
昔は格安の保養所があった
削減された象徴的なものが保養所です。私が入庁した時点では市内に5箇所ほど、保養所がありました。また、日本有数のリゾート地にも保養所を保有していました。
名目は研修施設など、それらしい名前になっていましたが、ただの保養所です。宴会会場があって、麻雀ルームがあって、風呂と寝具があってと、いたせりつくせりでした。
私も有給休暇を取得して、同期と麻雀ルームを利用していました。全自動卓です。利用料金は1日400円、つまり、1人100円です。格安!まさに公務員天国!でしたが、数年後に廃止されてしまいました。
その後、私の麻雀ルームは更地にされて、2億円くらいで民間に売却されてしまいました。悲しい限りです。
市内のほかの保養施設も順番に売却されたり、運営権を民間委託したりして、格安の利用料金が通常の水準に値上げされてしまいました。これでは意味がありません。もう利用していません。
リゾート地の保養施設も廃止されてしまいました。結局、私は1度も行かず仕舞いでした。残念です。
突っ込みどころ満載な「えらべる倶楽部」
私の市役所では、福利厚生会社が提供するサービス「えらべる倶楽部」を導入していました。
会員証を見せると、映画が割引になったり、眼鏡を安く買えたり、和食さとで割引してもらえたりします。
しかし、本当にささやかな割引で、このインターネット社会では、会員証なんて見せなくてもネットクーポンを使えば同じくらい割引が受けられるのです。
映画が安いのは嬉しいかなと思って、使用しようとしましたが、座席予約ができないのです。今どき、予約なしで並んで映画館に行くことなんてありません。
利用できる店舗数だけは莫大に多いのですが、何かと残念な制約ばかりで、結局は使い勝手が悪いものばかりです。
えらべる倶楽部の目玉は宿泊です。国内の豊富なホテル・旅館に割安で宿泊できますという触れ込みです。しかし、これが高い。1泊に付き、補助金は数千円でるのですが、それでも割高なのです。
正直、楽天トラベルでポイントを貯めた方がお得なレベルで、結局はこれも残念なレベルです。定価に比べたら割安ですが、このインターネット時代に誰が定価で探すんやという突っ込みどころ満載なシステムなのです。
そもそも社宅・寮制度がない
会社員時代には、独身寮・家族社宅の制度があり、私は東京で自己負担額は20,000円でした。マンションの1室を借上社宅として利用しており、会社が8割、個人が2割という負担割合でした。敷金・礼金・更新料も当然、会社持ちです。
それが、今の私の市役所では、そもそも原則、社宅制度がありません。寮もありません。
原則というのは、一部、古い官舎(公舎)が残っており、現在、住んでいる職員も数人だけいるのですが、将来、廃止することが視野に入っており、新規入居はさせていない状況です。
官舎は出先機関である事業所の敷地内に立てられており、現業職の職員が数名入居しています。24時間いつでも機械のトラブルに対応するためです。
職場の敷地内に住むなんて、究極の職住近接ですが、個人的には職場に住むのは勘弁してほしいと思います。試験採用の事務職や技術職が官舎に住むことはありません。
民間企業と異なる点として、市役所の職員は地元出身の人が多く、また、転勤もありませんので、さっさと持ち家を購入する人が多いようです。
地元出身者が多いですので、独身のうちは実家から通って、結婚後はすぐに自宅を購入するというライフスタイルですので、社宅はそもそも必要ない方が多いです。
住宅手当も廃止される
私は今は賃貸物件に住んでいますので、住宅手当として月15,000円をもらっていますが、家賃の一部しか賄えていません。
自分名義の持ち家を購入して、そこに住む場合、住宅手当として9,000円程度もらえます。この住宅手当も廃止が決まっていて、徐々に減額していくように決まってしまいました。
市役所勤務の大きな特徴としましては、転勤がないということです。
私は会社員時代は転勤族でしたので、腰を据えて生活するという雰囲気ではありませんでした。個人的には、社宅制度の有り無しよりも、同じ土地でずっと定着して住めることに満足しています。
全国展開している大手会社で転勤族をしていては、根無し草になってしまって、人間らしい生活はできないと思います。
子供の転校や、妻のママ友のつながりもありますので、転勤した場合、一生、単身赴任の危険すらあり、人間扱いされているとは言えないと思っていました。私の前の会社は、社員はただの将棋の駒扱いでした。
市役所では社宅も住宅手当もありませんが、転勤自体がありませんので、会社員自体に比べて、ワークライフバランスが取れていると思っています。
住み場所は近くなので通勤時間は30分以内
会社員時代は、東京での勤務ということで、ドアツードアで片道80分、夜中では90分ほどの通勤をしていました。
地方公務員になってからは、徒歩10分、ゆっくり歩いて15分という恵まれた生活を送っています。地方の政令指定都市ですので、こじんまりとした町なのです。
しかも、市役所には転勤がありません。勤務地は市内のみで、必ず自転車か電車・市バスかでは出勤できる見込みです。
毎日、夕方6時のニュースを家で見られる生活は、東京時代には経験したことがありませんでした。
周りの先輩職員を見ていますと、持ち家を購入する割合が多いです。市内に購入したり、JRですぐの近隣市に新築したりしているようです。
なお、市役所に勤務しているからといって、その市内に住む義務はありません。住む場所は自由です。市外に住むことに制約もありません。
例外として、消防職の方は緊急招集に備えて、市内に住むべしという要件があるようです。
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