市役所の人事異動は毎年1回4月だけ
市役所の人事異動には2つのルールがあります。定期異動制度と満期制度の2つです。
まず、定期異動ですが、異動する時期は4月のみです。一斉に人事異動します。これは民間企業でも割と一般的な制度です。まあ、私が勤めていた会社は毎月人事異動がありました。しかも、全国転勤(笑)。実際に勤めていたときは笑えませんでしたが。
市役所では1年に1回しか人事異動の時期がありませんので、変にソワソワしながら仕事をする必要がありません。4月に異動がなければ、今後1年間はずっとその職場で働くのです。腰を落ち着けて仕事ができるという意味で、良いことだと思います。
その分、1月くらいになってくると、毎年、全員一斉にソワソワしてしまいますが(笑)。
同一職場に在籍できるのは満期の5年まで
もう1つのルールは満期制度です。定期預金じゃないですよ。同じ職場にいられるのは最長5年までという制度です。
これは市役所によって制度は異なりますが、私の市役所では事務職(行政職)は5年、土木職や電気職など技術職は7年です。この年数を超えると強制的に人事異動になります。
まあ、私は入庁以来、満期まで在籍したことはありませんが。2年~4年のスパンで必ず異動してきました。なぜなら社畜職員だからです(笑)。
基本的に、仕事というのは同じ仕事をしつづける方が楽です。慣れてくるので簡単になってきます。しかも、市役所の仕事は幅が広い。広すぎるのです。異動するとしんどいです。
私が以前勤めていた会社は大手製造業でした。当然異動は多くありましたが、どこに異動しても今までの知識や人間関係は有効に使えました。
しかし、市役所は違います!昨年まで都市計画の部署にいた職員が、今年から高齢者福祉の部署に異動するのです。仕事の知識は全くありませんし、周りも知らない人ばっかりで人間関係もありません。まさにゼロからの再出発状態です。
市役所には2種類の職員がいます。1つは10%の社畜職員です。もう1つは90%ののんびり職員です。この社畜職員が市役所を支えているのです。
社畜職員は短期間で様々な部署を異動して、経験を積んでいきます。将来、幹部になるためには、畑違いの多くの職場を経験しなければなりません。私は出世欲は全くないのですが、社畜職員のカテゴリーに入れられてしまっています。根っからの生真面目な性格が災いしています。不本意です(笑)。
反対に、のんびり職員は1つの部署に長く在籍します。5年マックスまでいます。しかも、暇な部署にです。民間経験者採用の同期でも、のんびり職員は数多くいます。
市役所では、満期の意味が逆転してしまっています。つまり、「5年で異動しなくてはならない」はずなのに、実態としては「5年まで異動しなくてよい」となってしまっています。まさに都合のいい解釈です。これぞ、公務員の極み(笑)。
このような状況ですので、私の同期ののんびり職員は、何とか1回楽な部署に異動して、5年間はそこにしがみつくということを繰り返しています。給料は年央序列で横並びですので、うらやましい限りです。
満期逃れのテクニックがある
ちなみに、市役所にはのんびり職員を超える既得権益しがみつき職員がいます。このしがみつき職員が使う満期逃れの手法がまたえぐい。ところで、満期逃れって何ですか?(笑)
人事異動の満期は5年なので、どれだけ楽な職場であっても原則5年で異動しないといけません。そう、原則なのです。私の市役所では、職長という謎の役割を任免されると満期が延びます。20年延びます。
さらっと言いましたが、大事なことですのでもう1回言いますね。20年延びます。もともとの5年と合わせると25年です。楽な職場で職長ポジションをゲットすると、25年間ずっと甘い汁を吸い続けることができるのです。市役所ルール恐るべし(笑)。
一部のしがみつき職員が楽な職場にしがみついていますので、なかなか楽な職場の椅子が空かないという弊害が生まれております。うらやましい限りです。
満期制度は、職場の硬直化を防ぐための制度です。しかし、楽な職場で味を占めた職員は、満期でほかの職場に異動したとしても、数年後にはまた舞い戻ってきて、再び5年間は甘い汁を吸うということを繰り返しています。
なかなか制度を趣旨どおりに運用することは難しいものです。
異動希望の申告制度は形骸化している
どこの民間企業でも導入されているでしょうが、私の市役所にも異動希望の申告書があります。毎年12月頃に配られますので記入することになります。
異動を希望する・しないから始まって、異動先の希望を記入していきます。異動を希望しないにチェックしても異動希望先を記入しなくてはなりません。ちょっと謎の用紙です。
希望職場は第1希望から第7希望まで記入します。多くね?(笑)毎年、私も第7希望の職場まで書き込んでいますが、今まで希望どおりの職場に異動したことは一切ございません。拙者、社畜扱いされている故(笑)。
一部の社畜職員がどれだけ楽な職場を希望しても、まず通りません。しかし、普通ののんびり職員なら、ある程度の希望は通るようです。第7希望の職場に異動できるとか。第7希望までいったら、もはや希望でも何でもない気がしますが。
民間企業でも導入している制度は、市役所でも形の上では導入する、これが市役所の異動希望の申告制度です。
庁内公募制度は輪を掛けて形骸化している
私の市役所では、普通の人事異動のほかに、庁内公募という制度があります。民間企業で導入されている社内公募の丸パクリですね(笑)。
毎年12月頃、複数の係長ポジションが提示されて、希望者を募っています。今の時代、出世欲を持った若手職員は激減しています。係長になって社畜扱いを受けるよりも、ずっと係員でのんびりしていたいのです。だって、給料は年功序列で上がっていきますから。
そんな状況を打破しようと、颯爽と導入された庁内公募制度ですが、上手くいきません。係長に応募してくる職員の質が悪いのです。昇任してバリバリ仕事をしてほしい職員は応募してこず、ただ出世したいだけのダメ職員が応募してくるのです。
果たして、せっかく庁内公募しているポジションなのに応募者の中には適任者なしとなり、普通の人事異動と同様の扱いになってしまうのです。そんなこんなで市役所の人事異動は旧態依然のままなのです。
シェアする