市役所の人事評価制度は形だけ
私の市役所でも、一応、民間企業の真似事として、人事評価制度が導入されています。これが激しく形だけなのです。
まず、目標設定が適当です。自分の業務から3つ選んで、目標水準を記入します。目標レベルが高くても低くても、何でもいいのです。だって、課長もスルーなので(笑)。
年度ごとに設定するのですが、これをするのが6月です。既に3箇月目に突入しています。そして、結果を評価するのが1月です。
6月に始まって1月に終わるという謎の期間設定です。公務員の仕事は年度ごとで完全に切り分けられてしまいますので、その悪影響をモロに受けてしまった制度です。
目標設定をする際の面談は10分ほどです。結果評価の面談も10分です。あまりに短くて驚きました。課長が10分ごとに職員を呼んで、流れ作業のように面談をこなしていくのです。
私の勤めていた企業では、それぞれの面談は2時間くらい、長い場合は半日も続きました。そのくらいしないと、本人と上司のすり合わせができないからです。
また、評価は直属の係長ではなく、その上の課長が行います。普段、仕事を見ている係長ではないのです。
課内にはそうとうな人数がいますので、課長はおよそ30人くらいの係員の評価をします。必然的に流れ作業になってしまい、突っ込んだ評価は不可能な状態です。
評価は給料には反映されない
そんなこんなで市役所では人事評価ごっこが行われていますが、その評価がどこに反映されるのかと言いますと、給料には反映されないのです。昇給は横並びですから(笑)。
評価は賞与に反映されます。S・A・B・C・Dの5段階評価ですが、C評価とD評価の場合、賞与が5千円くらい減ります。何十万円ともらえる賞与の5千円ぽっちです。
C評価とD評価というのは非常に悪い評価で、絶対評価で評定をしていますので、これがつく職員は全体の1%未満です。病気で長期間休んでいて、業務に何も貢献できていない職員だけです。
普通に毎日出勤して、普通にサボりながら楽して過ごしている職員はB評価になります。給料は何も変わりません。「来年はA評価を目指すように」などと、上司のお言葉があるだけです。
なお、長時間残業をしている部署の職員はA評価が多くなります。基本的に働いている長いと、評価が良くなります(笑)。そして、「よく頑張った」と上司のお言葉がもらえます。
評価の見返りがお言葉だけなのです。お金ではないのです。公務員なので。この言葉でヤル気を高められる、成長を促すなどという理屈です。あくまで、職員に差を付けるのではなく、職員全員の意欲を高めるのが導入目的だそうです。公務員なので(笑)。
係長への昇進は実力差が出る
公務員の給料は年功序列の横並び主義ですが、昇進に関しましては、実力差が出ます。出世が早い職員は、だいたい35歳くらいで係長に昇進します。昇任とも言います。
制度としましては、係長試験というものがありますが、筆記試験の一発勝負というわけではなくて、日々の仕事ぶりから合否を判断している割合が大きいです。
仕事の能力やヤル気面で秀でた職員は、例え先輩職員を追い越しても、先に係長に抜擢されます。
個人的な話ですが、私も同期の中で1番に係長になりました。どちらかと言うと昇進したくないと思っているタイプですが、「係長にさせられた」という感じです。楽な部署でのんびりすることが許されなかったのです。
早く昇進できるのに、給料は横並びという矛盾が出てきます。その答えは、本質的には、昇進しても昇給するのは1万5千円くらいで、あまり変わらないということです。
そして、公務員という仕事柄の特徴として、係長には仕事が集中するというのがあります。有給休暇が取りづらくなり、サービス残業もなし崩し的に増えていくという悪循環に入ります。
これを時給計算しますと、係長と係員の給料は逆転します。横並びどころか、係員の方が時給が高いという謎の逆転現象が起きるのです。
係長への昇進は実力差が出ますが、給料にはほぼ影響がないということです。
昇進を断る職員もいる
昇進するかどうかは、人事異動の話ですので、完全に職務命令です。係長に昇進だと言われた場合、断るも何もありません。個人の意思で「辞退します」などと申し出ることは、本来あり得ません。
しかし、私の市役所では断る職員もいるのです。理由は、のんびりしたいから。もちろん、簡単には断れません。ゴネ倒してゴネ倒して、何日も何日もゴネ倒して、最終的に、頭がおかしいと烙印をおされて、認められるのです。
元々、楽な部署でのんびりしたいという希望なので、こうなると、願ったり叶ったりです。ダメ職員のレッテルのもと、楽な部署に異動して、今後の公務員人生をのんびり過ごすのです。
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