実際にあった公務員試験での縁故採用の被害経験
私は、コネ採用(縁故採用)のせいで、せっかく受けに行った公務員試験で、時間とお金をムダにされた経験があります。その時の経験をまとめました。これは、関西圏の小規模市役所での経験です。
オレ、勉強嫌いだし
この公務員試験に受かるにはコネが必要だったということですが、ホントにばかばかしい経験でした。ただの恨み節です。
この市役所の経験者採用試験は、採用予定人数は「若干名」で、申込用紙の提出は「平日に持参のみ」でした。いろいろな市町村について調べていましたが、普通は郵送可ですので、珍しい制限でした。今思えば、この時点で既に少しおかしい!
私は仕事の納期が迫っておりなかなか休めず、願書の提出がギリギリになりました。締め切り最終日に、午後から半休を取って会社を休み、新幹線で地元近くまで帰って提出することになりました。
受付時間は夕方5時までで、私が到着したのが4時40分くらい。前の人の申し込みが終わるのを待って、私の申し込みも受理してもらいました。このとき、既に5時になっていて、私が最後の申し込み者でした。
筆記試験の日、試験会場に行くと、受験者数は50人くらいで極めて少ない規模でした。民間経験者採用にも関わらず、平日に持参することが要件でしたので、当然と言えば当然です。会社を休んで持っていくという謎の縛りですからね。
私が最後の申し込みでしたので、受験番号も当然最後かと思いきや、後ろにもう1人、「最後の1人の男性」がいました。
このときは、単に事務処理の過程で番号に入れ替わりがあったのだと思っていたのですが、この「最後の1人の男性」が、のちに唯一の最終合格者になりました。
私は筆記試験にサクッと合格し、次の試験の集団討論に進みました。ここに進んだのは8人のみで、1グループで討論しました。
8人で普通に集団討論を交わした結果、私の見立てでは、「私」「切れ者の男性」「受付風の女性」がトップ3で、最終面接に進むかと思いました。私自身、企業で人事担当者でしたので、このあたりの見立ては慣れたものです。
最終合格した「最後の1人の男性」は、40分の討論の中で発言をしたのは1回だけというクソっぷりでした。かろうじて1回だけですよ。しかも、クリティカルな意見ではなく、言っても言わなくていいような平凡な意見でした。
そして、私は晴れて集団討論に合格し、最終面接に呼ばれました。残ったのは4人で、「私」「切れ者の男性」「受付風の女性」「最後の1人の男性」でした。3人は私の予想どおりでした。
正直な感想では、この「切れ者の男性」が優秀なのです。私よりも優秀で、採用人数が1名だけだったらたぶん負けるかなとは思っていました。採用人数は若干名なので、なんとか2人合格で滑り込みたい気持ちでした。
そして、なぜ「最後の1人の男性」が残っているのか不思議でしたが、このときは、「ライバルになりえない人なのでラッキー。実質3人の勝負か。」と思っていました。
最終面接は個別面接でしたので、他の人の内容は分かりません。私自身は手応えがありました。しかし、最終合格したのは「最後の1人の男性」だけでした。1人だけの合格です。
40分間も一緒に討論すれば、優秀なのか、凡人なのか、凡人以下なのかはだいたい分かりますが、「最後の1人の男性」は明らかに凡人以下でした。
この凡人以下を採用するために、その市役所で初めて民間経験者採用試験を実施したのです。50人の応募者を集めて、結果、この茶番かと絶句しました。
自分が不合格になったことよりも、公務員試験で時間とお金をムダにされた怒りが収まりませんでした。4往復分の新幹線代を帰せと言いたい!公務員試験で縁故採用なんてするな!コネ採用をするならひっそりとしろ!
現在、既に私は別の本命市役所に採用された身ですので、どこの市役所だったかは、今さら公表するつもりはありません。
このように、地方の小規模な市役所ではコネ採用は実在します。有力な市議会議員や国会議員、同和団体のコネになります。残念ながら大半の人にはこのような強力なコネはなく、そもそもコネ採用を目指すのは無理だと思います。
縁故のレベルにも強力なものから弱いものまであります。議員案件や同和案件の縁故は強いです。採用人数が若干名であったり少ない場合は、コネ採用で受験している人間が複数いれば、普通に落ちる場合があります。
縁故採用で落ちるケースは、本人の資質の問題で落ちる場合と、コネの強さの問題で落ちる場合があります。完全なコネはないのです。
何とかならない?
大都市の市役所でコネ採用はばれるし落ちる
コネ採用とはコネクション採用の略称です。
私が転職した市役所は、人事委員会を置いている政令指定都市です。試験採用に限っては、同期や後輩の話を聞いても縁故採用の話は噂も出てきません。
前の会社での経験上、実際にあれば、噂くらいは立つものです。必ずばれるものです。コネを使った権力者が自分で言いふらすからです。「あいつを公務員試験に合格させたのはオレだ」と言いふらすのです。
コネの力が強力な権力者というのは、自分の力をひけらかしたがります。誇示して悦に入るのです。縁故採用された人は、一生その呪縛で色眼鏡で見られますので、強いハートが必要になります。
人事委員会を置いているくらいの大規模な市役所では、さすがに、裏ルートのコネ採用はできないものなのだと思います。あくまで、「試験採用に限っては」です。
コネ採用があるのは技能労務職だけ
私の市役所では、技能労務職員の採用もあります。学校の用務員や下水処理場の現場の作業員のことです。よく耳にするコネ採用の話は、この技能労務職の話なのです。
同じ公務員試験でも、この技能労務職というものは経験者採用とは全く別物です。
技能労務職員については、どこの市役所でも退職不補充で自然減員を目指しており、採用人数は減少していますが少数ながら存続はしています。
採用形態は「試験採用」とは全く別で、「選考採用」というもので、試験を実施しないものです。手作業の作業効率の測定などと面接だけで採用しています。
この採用では、未だに半分くらいの方がコネ採用のようです。正直、誰でもできる仕事なので、権力者の圧力と、素性の知れた人間を採用したいという採用側の思惑が一致するのでしょう。
民間会社では縁故採用が普通にある
私の前の会社では、採用者の25%くらいがコネ採用でした。毎年、40人の採用枠で、10人くらいです。
民間会社はコネがものをいう世界ですので、コネ採用は公務員試験よりも多いです。誤解されがちなのですが、自社の社長や専務の息子を採用するという縁故採用ではありません。
一部上場企業では、会社は株主のものであり、役員の私物ではありませんので、そんなことはできませんし、しても会社に何のメリットもありません。
縁故採用する学生は、取引先の重役の息子や娘です。そういうコネですので、入社後には100%ばれます。コネ入社がばれる・ばれないの心配をする人は多いですが、悩んでもムダです。「必ずばれる」が正解です。
企業活動では、素材・原材料を購入したり、一次加工品を販売したり、流通企業に卸したりと企業間の商売が多くあります。
どこの会社と取引するかは、単純な価格とサービスの質だけではなく、これまでの付き合いや株式の持合い具合も大きく重視されます。
創業100年に迫る伝統ある会社では後者を重視する傾向が強いです。そこで、取引先の重役の御子息を従業員として迎え入れ、関係を強化する作戦です。戦国時代の政略結婚と同じ図式です。政略入社なのです。
ぼんくら息子で仕事が一切できないような学生であっても採用してあげて、年間500万円くらいの給料で恩を売って、年間何億円もの商談を維持する作戦です。
優良企業に採用されるには、何か光るものが必要です。頭がすごく切れるとか、人当たりがすごいいいとかも才能ですが、「親が偉い」というのも生まれ持った才能なのです。
正直、コネ採用を狙えるくらいのいいとこの家の出なら、公務員試験よりも民間会社を狙った方が簡単だと思います。人生、公平なことなんてありません。才能によって、有利にも不利にもなるのです。
学校では全員が公平に扱われますが、社会では公平などあり得ません。余計な怒りを感じなくても済むように、就職するに当たって、そのことを理解しておくべきです。
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