社会人採用は新卒採用よりも要求水準が高い
大卒の公務員試験で聞かれることのほかに、社会人特有の質問も多くあります。多くの市役所を受験した結果、同じような質問を多くされました。質問例とともに回答例もできる限り説明していきます。
上級試験と異なる点としまして、やはり給料のことや今の会社を辞める理由などが根掘り葉掘り聞かれます。
大学生の面接よりも、プラスアルファの上積みを求められます。事前に対策を立てておくことが、合格への近道になります。
身だしなみやネクタイのセンス、社章の有無など、身だしなみにも注意が必要です。社会人としてこれまでの経験値を、隅々まで発揮することが重要です。
なぜ中途採用で転職するのかが問われる
質問 「新卒のときには、なぜ公務員に就職しなかったのですか?」
事実として、私の身の回りには、市役所に就職した友人がいませんでしたので、選択肢として、公務員になることを考えていませんでした。就職活動とは、民間の会社を回って、そこに就職するものだと思っていました。
ですので、その旨、正直にお話しました。就職後に、偶然、市役所に転職できることを知って、その思いが強くなり希望したと、これも正直に伝えました。
私はたまたま違いましたが、大卒時にも公務員を志望していた方も多くいると思います。そういう方でも問題はないと思います。
私の同期で、新卒の際に、上級の公務員試験を受験して落ちて公務員を一旦諦めて、民間会社に就職した後に、民間経験者試験で転職してきた方がいます。
面接では、「公務員になるのが私の夢だった。」と答えたそうです。個人的には、公務員になりたいだけの、ちょっと寒いセリフです。どちらかと言うと悪い回答例だと思います。
民間会社で経験を積んできたので、そのスキルを市役所のために活かしたいことを強調すればいいのです。
質問 「なぜ転職しようと思ったのですか?」
転職試験ですので、これは必ず聞かれると思っていました。そして、案の定、聞かれました。
ポイントとしては、今の会社の悪口を言わないことです。今の仕事が嫌で逃げ出すような人だと思われますと面接の評価が下ります。実際問題、市役所に入った後も嫌なこともたくさんありますので、逃げ出す人は要らないのです。
「○○株式会社で働いていることを誇りに思います。しかし、生まれ育った○○市の役に立ちたいと思い、志望しました。」というような答えをしました。
全国転勤が嫌だとか、残業が多いだとか、そもそも残業がサービス残業だとか、上司が嫌いだとか、会社の嫌いなところは多々あり、誇りになんて一切思っていませんでしたが、大人の対応としてこの答えにしました(笑)。
私は嘘つくときに口ごもる癖がありますので、何回もこのフレーズを練習しておきました。実際の面接では、練習の成果で、上手く受け答えできたと思います。
正に、事前の対策はバッチリの状態で試験に臨みました。
質問 「会社を辞めることができますか?」
はじめは意味が分かりませんでした。だって、辞めたいから受験しているんですから(笑)。転職試験に特有の質問です。
質問の意図を聞き返してみると、「会社から見れば、手塩を掛けて、研修費を掛けて育てた社員を、市役所に引き抜きされる形になるので、トラブルにならないか?」という意図でした。
このように、質問の意味や意図が分からなかった場合、また、聞き取れなかった場合などは、落ち着いて聞き返せばいいと思います。
私の会社は社会的にも一流と言える会社でしたので、それくらいで行政にいちいち因縁をつけるようなことはしません。
「弊社は、行政とも取引があり、各自治体とも長年お付き合いしてきました。○○株式会社が行政と揉め事を起こすことはありません。」と事実を正直に答えました。
自分の会社のことを弊社とサラッと言ったあたりが、できるサラリーマン風でした(笑)。
質問 「転職についてどなたかに相談しましたか?」
私は、他都市の市役所に勤めていた知り合いが偶々おり、相談をしていましたので、そのとおり答えました。相談したおかげで、市役所での仕事をある程度イメージができて、仕事内容を知ったうえで、転職を希望している旨を伝えました。
当然、今の会社には秘密で転職活動しているのですから、「会社に相談している」などと嘘をつく必要はありません。面接官もそんな回答を望んでいません。会社に相談しているなんて、落ちたときの危機管理能力を疑われてしまいます。
この質問の意図は、転職の際のありがちなパターンとして、本人は希望しているものの、奥さんや家族の反対で断念するケースが多々あるのです。本人の意見よりも妻の意見の方が強い家庭もあるのです(笑)。
市役所の採用担当者も、そんな理由で内定辞退されたら不本意ですので、結婚している方には、奥さんにキチンと相談しているのか、反対されていないのかについて、詳しく聞かれると思います。
私は独身でしたので、身軽に転職できました。
公務員の社会人採用では給料の金額交渉はできない
質問 「給料は下っても大丈夫ですか?」
下世話な話ですが、聞かれました。私は、「普通の金銭感覚をしていますので、大丈夫です」と答えました。
民間会社のヘッドハンティングなど、通常の転職では給料交渉があると思いますが、公務員では、初任給は規程に則って算出するだけです。
そして、民間会社に比べて給料は下ります。悲しい話ですが下るのです(笑)。公務員への転職、プライスレス。
市長の裁量でその人だけ給料を高くしたりなど、能力によって区別できませんので、念のため、本当に給料安いけどそれでもよいのかの確認をされたのだと思います。
普通、民間会社への転職でしたら、事前に給料額の提示があるのですが、公務員ではありませんでした。給与規則に則って淡々と計算するだけのようで、事前には具体的な金額は教えてもらえませんでした。
給与交渉はできないの?
能力で決まるのではなく、勤務年数から機械的に算出されます
私が自分の給料を知ったのは、採用発令日である4月1日でした。同期の転職者の中には配偶者や子供がいる家族持ちの方もおり、家族への説明は大丈夫だったのか尋ねてみると、合格後に問い合わせたら仮計算して教えてもらえたそうです。
奥さんに説明する必要があったり、住宅ローンがあって、自分の人生設計をきちんと考えないといけない方は、合格後に尋ねてみれば確認できます。
基本的に合格後の対応は非常に丁寧です。増額交渉はできませんが、試算はしてくれますので、正確な金額を知ることができます。
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