集団討論というグループワークで公務員としての適正が判断できる
市役所の面接試験では、1次面接の代わりに集団討論、つまりグループディスカッションが実施される場合もあります。私は、このグループディスカッションは2回経験し、2回とも合格して次のステップに進めました。
一般的に、集団討論の合格率は半分の50%くらいです。短い時間ですが一緒に討論をしていますと、ディスカッションの途中くらいで、合格する人・落ちる人が、自分たちでもほぼ分かるものです。
そして、次の最終面接に進みますと、だいたいそのとおりの面子が残っているという展開になります。公務員の人事・採用担当の目の付け所は、普通の民間会社の人の感覚と同じです。何も心配はありません。
過去に1度だけコネ採用で大きな迷惑を被った経験はありますが(笑)。
集団討論で合格するための対策
討論のテーマは、当日、開始の10分くらい前に通知されます。まず、開始までの間に自分の考えをまとめて、討論に臨む形です。
メモ用紙も渡されますので、書き出しながら自分の意見のポイントをまとめる必要があります。集団討論のテーマというのは、答えが複数あるケースがほとんどです。討論するためには当たり前のことです。
自分の意見がしっかり決まらないと、討論の最中に根無し草になってしまいますので、ここがまず重要ポイントです。
討論時間は、8人~10人で、45分~60分くらいが一般的です。
メンバーが10人もいると時間が全然足りず、自分の発言の機会は限られてしまいますので、「これだけは話したい!」というポイントを押さえることが大事です。
ポイントを押さえず、どうでもいい発言をダラダラ繰り返して、貴重な討論時間を食いつぶす人がいます。その場合、周りの受験者から白い目で見られますし、当然ながら試験にも落ちます。
ディベートとは違うことに気を付ける
準備時間の10分間で自分の意見をしっかり準備するのですが、討論時によく勘違いしがちな点として、集団討論とディベートは違うということを意識する必要があります。
集団討論では、自分の意見が大勢の意見と違えば、自分の意見を曲げて妥協してもいいのです。いわゆるディベートとは違い、自分の意見や理論で討論相手をねじ伏せれば勝ちという試験ではありません。
集団討論とはグループワークですので、グループで一丸となって結果を出すスキルが求められます。
集団討論というのは、決められた時間内に、集団で討論して一定の結論を導こうという作業です。結論をまとめあげることが重要なのです。当然、意見や理屈が食い違うこともあります。
これは、普段の仕事をしていく中でもよくあることかと思います。集団討論の試験には、「普通の仕事の会議と同じ」だと思って参加する気持ちがちょうどいい対策です。
常に正論を吐くだけでは議論は集約していきませんので、妥協もしながら、結論を導き出します。お互いに納得できる妥協を繰り返していって、一定の結論を出すのは難しい作業です。
正論しか言わないとか、「正しいことを言うのが常に正しい」とか思っている人が世の中にはいます。正直、そういう人の態度の人はキモイので、必ず落ちます。普通に考えて、そんな人間と一緒に仕事をしたくないので、当然だと思います。
自分の意見を考えるコツ
私は、前職の民間会社で、採用する側としてグループディスカッションに携わったことがあります。ある程度、合格するためのノウハウも分かります。
テーマは、専門知識を要するものではなく、一般的な話題が課されます。誰でも意見が言えるテーマが設定されるのです。
例えば、「エコ活動の功罪」というテーマが出題されたとします。よくあるテーマです。
自分の意見を考えるとき、全くの白紙の状態で考えると、あまりに多くの選択肢がありますので、なかなか考えがまとまりません。
対策としましては、「私の会社のエコ活動の功罪」という風に、「私の会社の」を付け加えて考えるのがいいです。あくまで民間経験者試験ですので、会社での経験を持ち出してくると、説得力が増します。
自分の会社で体験しているお昼休みの電灯消灯や、暖房設定温度などで語ってもよいですし、もっと大きな目線で、会社のCSR活動を語ってもよいです。
自分の経験に即して語ることで、身近で具体性のある話しぶりになります。また、メンバーの記憶に残るクリティカルな意見を出せると思います。
具体的な経験に裏打ちされていない話というのは、なかなか議論を発展させにくく、他人を説得するのが難しいです。そうならないように体験談を交えて身振り手振りも交えて、議論することが重要です。
受かる人と落ちる人の違い
60分の時間なら、最初の20分はみんなでドンドン意見を出して、次の30分で意見を精査して、最後の10分でまとめるのが普通です。
最初はブレインストーミングのような感じで進めればいいです。その中からクリティカルな意見を皆で拾う作業を進めるのです。
「はじめに自己紹介をしよう」と言い出す人がいますが、本来は不要です。ただでさえ時間が短いのに、ただのムダです。
不幸にもそういう展開になった場合は、否定せずにさらっと一瞬で終わらせて、本題に進むことです。出だしで否定すると、討論が重くなってしまい逆効果です。
また、司会を決めて討論を開始する必要はありませんが、「決めよう」と言い出す人が必ずいますので、その場合は、決めてから始めればいいと思います。
自分の意見を言いにくくなりますので、積極的に司会に立候補する必要はありません。司会をするだけでポイントがアップすることは特段ありません。
司会はしたい人に任せて、自分はクリティカルな意見をいうことと、他人の意見を取り入れてよい結論に集約することに集中しればいいと思います。
ここで厄介なことに、自分で司会者に立候補しておいて、実際に司会進行を進めてみるとグダグダな司会をする人がいます。というか、司会に立候補する人は、下手な人が多いです。
ポンコツな司会者に当たった場合でも、イライラしてはいけません。人を馬鹿にしたような言動も慎みます。自分の減点になってしまうだけですので。
社会人のたしなみとして、司会者の顔をつぶさないようにしながら、司会者をサポートします。基本的には、時間の配分を念頭に、司会者に変わって議論を裁き、最後だけ司会者に花を持たせてあげれば綺麗に収まります。
また、「タイムキーパーを決めよう」と言い出す人もいますが、これも不要です。時間管理は皆でするものです。定められた時間内に結論を出すのは、非常に苦労します。時間管理の意識は重要です。
特段立候補する必要もありませんし、誰も立候補しなければ、普通は言いだしっぺが引き受けます。なしのままでも問題ありません。
意見をたくさん言えば、面接官の評価が上るわけではありません。重要なのは、クリティカルな意見をどれだけ言えたかです。クリティカルヒットが必要なのです。
また、言った意見だけが評価対象ではありません。全員の討論を、時間管理も含めてしっかりコントロールすることも重要です。
とりあえず、クリティカルヒットを2回はたたき出して、また、周知の意見もまとめ上げていけると、合格ラインに入れます。
また、まれに、「結論を導かなくてよい」という条件が付け加えられているグループディスカッションもあります。その場合、その指示に従えば問題ありません。
討論が途中で打ち切られる気持ち悪さは残りますが、そういう指示の集団討論もあります。
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