大阪市役所は民間経験がなくても応募できる
大阪市役所の採用の方法はユニークです。ほかの大都市とは大きく異なります。
まず、民間経験者採用という概念が違います。民間経験は社会福祉職のみで実施されます。社会福祉施設で相談支援の仕事をしていた人に限ります。そんな特殊な経験をしていた人って、ほとんどいないと思います。普通の人は応募すらできません。
しかし、大阪市役所にはもう1つ大きな特徴があります。「事務行政26-34」という試験区分があります。34歳までなら応募できますよという試験です。
しかも、職務経験の有無は問いませんというぶっ飛びぶり(笑)。現実的に30歳までニートや夢追い人をやっていた人が採用されるとは思いませんが、応募資格はあるということです。
就職氷河期世代は完全に範囲外になってしまっていますが、34歳までの方にとっては、他都市の民間経験者採用と同じような制度となっています。
大阪市役所の初任給の支給モデル
具体的に見ていきましょう。大阪市役所の民間経験者採用の初任給について、市役所発行の「採用試験要綱」を基に解説します。大卒モデルで明記されているのは、次の3パターンです。
26歳(勤続 4年) 224,122円
30歳(勤続 8年) 243,948円
34歳(勤続12年) 255,780円
大阪市役所の採用条件では、今まで無職の人でも応募資格がありますよってなっていますが、給与モデルでは、しっかりと大卒からフルで仕事をしてきた人のモデルのみ提示されています。
つまり、そういうことです。無職の人の合格はほぼほぼ無理ですよと言ってくれているわけです。
この金額は基本給に地域手当を加えた合計額です。
地域手当とは、基本給に一律16%加算される手当のことです。全員に加算されます。大阪市は大都会です。物価も高いです。それを反映して、地域手当は高額に設定されています。それが地域手当の特徴です。
28歳(勤続4年)のケースで説明しますと、基本給は193,209円、地域手当は30,913円で、合計が224,122円になるわけです。
このほかに支払われる給料がある
採用試験要綱によりますと、大阪市では、この金額に固定的給与として扶養手当、住居手当、通勤手当が加算されます。しかし、その金額については明記されていません。給与条例を見る必要があります。
まず、扶養手当についてです。
配偶者を扶養する場合、6,500円です。夫婦共働きの場合は、扶養していませんので支給されません。また、子供につきましては、1人に付き10,000円です。
扶養手当の水準としましては、妥当です。市役所ではよくあるパターンです。
昔は専業主婦世帯を標準に考えていて、妻に対する扶養手当が高額でしたが、昨今の子育て支援の風潮の影響で、妻の扶養手当が下がり、それに替わって子供への手当が高くなりました。
次に住居手当についてです。住居手当は給与条例にも記載されておらず、「市規則で定める」とだけ記載されています。しかし、肝心の市規則がネットで検索しきれないという難易度が高い調査になりました(笑)。
なんとか調査してきた結論から言いますと、賃貸物件に住んでいる場合、30,500円を上限として家賃の半分が支給されるというものです。大阪市外に住んでいる場合は、28,000円が上限です。
市内か市外かで金額に差を付けている理由は全くの謎ですが、とにかく賃貸物件に住んでいれば支給されます。親元に同居している人や持ち家を購入している人には支給されません。
一般的に市役所の制度と比べて、かなり高額です。大阪市内の家賃相場は高額ですが、これだけ住宅手当をもらえるとなりますと、ワンランク上の物件にも住むことができますね。うらやましい(笑)。
通勤手当は、電車・バスの定期券代が支給されます。実費が支給されるものです。
整理しますと、大卒30歳(勤続8年、扶養なし、賃貸住宅)の場合、給料は「27万円」になります。手取りでは「21~23万円」です。
大卒34歳(勤続12年、妻と子1人を扶養、賃貸住宅)の場合、給料は「30万円」になります。手取りでは「23~24.5万円」です。
毎月固定的に支給されるものはこれで全てになります。大阪市役所は大阪維新の会の橋下市長の時代から公務員バッシングが続いており、給与水準も安く抑え込まれているいるかと思いきや、意外と結構な高額水準のままだということが分かりました。
このほかに変動的なものとして、時間外勤務手当が支給されます。いわゆる残業代です。
初任給の水準にもよるのですが、おおよその理解としまして、残業代の単価は1時間当たり2,000円となります。毎月20時間の残業をこなす場合は、残業代は40,000円となります。
残業が多いのか少ないのかは、配属先の職場によって異なります。区役所や出先機関では本気で仕事が少ないです。残業などあろうはずがありません。
仕事がない中で無理くりに残業を生み出そうとする職場もありますが、せいぜい毎月10時間程度で終わります。残業代も2万円程度です。
反対に本庁勤務は激務です。毎月30時間を簡単に超えてしまって、100時間になることもあります。おっと、労働基準法が改正されて100時間の残業は違法になってしまいましたね。でも、心配ありませんサービス残業にすれば、なかったことになります(違)。
何はともあれ、激務な部署では残業富豪になって、手取り給与が50万円を超えることもあります。手取りで50万円ですよ。どれだけ高給取りやねんって思うレベルです。
まあ、自分でコントロールできる手当ではありませんので、転職する前から残業代はあてにはしないことです。
ボーナスの支給水準
採用試験要綱によりますと、期末・勤勉手当が支給されます。しかし、ここでもどのくらいの金額が支給されるのか、記載されていません。この要綱、不親切や・・・。
しかし、安心してください。どこの都市でも、ボーナスのおよその支給月数は決まっています。年間4.4箇月です。
年2回の支給ですので、6月に2.2箇月、12月にも2.2箇月の合計4.4箇月になります。ボーナスの算定基礎は、基本給、地域手当、扶養手当の合計金額になります。住居手当は含まれません。
30歳(勤続8年、扶養なし)では、6月・12月にボーナスとしてそれぞれ54万円ずつ支給されます。
34歳(勤続12年、妻と子1人を扶養)では、6月・12月にボーナスとしてそれぞれ60万円ずつ支給されます。
大阪市役所の初任給のまとめ
大阪市役所の初任給は、ほかの自治体よりも地域手当が高いのが特徴です。また、住居手当の金額が大阪市内に住むことでアップする特徴もあります。
純粋な民間経験者採用ではありませんので無職の人でも応募できますが、やはり職歴がない人の合格は難しいようです。大阪市役所は、職歴のある人でも34歳までしか応募できないという、氷河期世代には厳しい条件になっていますのでご注意ください。
30歳前後という若いうちの転職しか受け付けないという殿様商売(笑)の条件ですが、給料やボーナスの水準はほどほどに良い水準です。普通に生活する分には全く支障はありませんので、この金額を転職を目指すかどうかの判断材料にしていただければと思います。
シェアする