札幌市役所の初任給の支給モデル
札幌市役所の民間経験者採用の初任給について、市役所発行の「採用試験案内」を基に解説します。大卒モデルで明記されているのは、次の2パターンです。
40歳(勤続18年) 287,000円
45歳(勤続23年) 311,000円
そして、珍しいことに、高卒モデルも明記されています。そもそも、高卒で経験者採用ってほとんど受からないと思うんですけど。
35歳(勤続17年) 250,000円
これは基本給に地域手当を加えた合計額です。
地域手当とは、札幌市職員給与条例によりますと、基本給に一律3%加算される手当のことです。安っす(笑)。3%ですよ、3%。他の政令指定都市では10%は超えてくる市役所が多い中で3%です。
つまり、札幌市の物価が安いということです。いい意味に解釈するなら、そう考えるしかないです。これは、全員に加算されます。それが地域手当の特徴です。
40歳(勤続18年)のケースで説明しますと、基本給は278,640円、地域手当は8,360円で、合計が287,000円になるわけです。
ところで、札幌市役所の大卒モデルケースは、なぜか40歳と45歳です。転職市場のピークは30歳前後なのですが、なぜか40歳オーバー・・・(笑)。札幌市役所の戦術は謎が多い・・・。
参考データとして30歳(勤続8年)モデルも算出してみました。結果は239,000円です。かなり安い!掲載できない理由はそのためかもしれませんね。そう考えますと、札幌市役所の戦略も合理的だと思えました(笑)。
このほかに支払われる給料がある
採用試験案内によりますと、札幌市では、この金額に固定的給与として扶養手当、住居手当、通勤手当が加算されます。
そしてかなり特徴的なのですが、10月に寒冷地手当が支給されます。所得税法的には一時金の賞与のような位置付けになります。冬の間、毎月ではありませんよ。10月だけです。
各手当の金額については明記されていません。給与条例を見る必要があります。
まずは、興味津々、寒冷地手当についてです。家族構成によって金額が異なります。
世帯主(扶養家族あり)116,800円
世帯主(扶養家族なし)65,300円
世帯主ではない人 44,000円
専業主婦の妻や子供がいれば、毎年10月に11万円を超える金額が支給されます。結構まとまった金額ですね。独身の一人暮らしは6万円です。
寒冷地手当の意味合いは、北海道の冬の冷え込みは厳しく、暖房用の灯油代がかさむので特別に支給しますよというものです。
寒冷地手当は官庁では大昔から導入されている制度で一般的なものです。さすが北海道。役人は一旦導入したものは徹底的に現状維持します。住宅構造の進化で、今ではそれほど灯油代が掛からなくなっていても継続されているのです。
そんな考えなら、東京など都市部での猛暑に、猛暑手当を導入するべきかと思いますが、それは導入されません。役人は一旦(以下略)。
次に、扶養手当についてです。
配偶者を扶養する場合、7,000円です。夫婦共働きの場合は、扶養していませんので支給されません。また、子供につきましては、1人に付き11,000円です。
扶養手当の水準としましては、結構高い方かと思います。
次に住居手当についてです。
賃貸住宅に住んでいる場合、27,000円を上限として家賃のほぼ半額分が支給されます。実家に両親と同居していたり、既に持ち家を購入している人には支給されません。よくあるパターンの手当です。
最後は、通勤手当です。通勤のための電車・バスの定期券代が支給されます。実費が支給されるものです。
整理しますと、大卒30歳(勤続8年、扶養なし、賃貸住宅)の場合、給料は「27万円」になります。手取りでは「21~23万円」です。
大卒40歳(勤続18年、妻と子1人を扶養、賃貸住宅)の場合、給料は「33万円」になります。手取りでは「25.5~26.5万円」です。
毎月固定的に支給されるものはこれで全てになります。このほかに変動的なものとして、時間外勤務手当が支給されます。いわゆる残業代です。
残業代の単価は1時間当たり2,000円と理解しておいて、それほど間違いはありません。給料水準によって異なりますが、まあそんなものです。
ちなみに、平日の定時以降の場合は、通常の給料の時間単価の25%増しで、日曜日などの休日出勤の場合は、35%増しです。これは労働基準法で定められているものです。
市役所の残業時間は部署によってかなり異なります。また、サービス残業にされてしまうのかどうかは、市役所の雰囲気や考え方で変わります。
私の市役所はあまりサービス残業はありません。残業時間の変動も大きく、忙しい部署では100時間を超えますし、暇な部署では0時間です。人員配置がおかしすぎ。それが公務員というものです。
毎月20時間の残業をこなした場合、残業代は40,000円となります。私が異動してきた部署をトータルで考えますと、これくらいが平均値かなと思います。
基本的に市役所の給料は安いです。しかし、残業代をあてにして生活設計を組むのは危険です。そもそも残業がない部署に配属されるかもしれません。人事異動は自分の思いどおりにはならないものです。
ボーナスの支給水準
採用試験案内によりますと、期末・勤勉手当が支給されます。いわゆるボーナスです。特段、勤勉ではない私にも支給されています(笑)。
具体的な金額や月数は記載されていません。しかし、ご安心を。どこの市役所でもほとんど同じ水準で支給されます。年間4.4箇月と考えておいて問題ありません。
年2回の支給ですので、6月に2.2箇月、12月にも2.2箇月の合計4.4箇月になります。ボーナスの算定基礎は、基本給、地域手当、扶養手当の合計金額になります。住居手当は含まれません。寒冷地手当も関係ありません。
30歳(勤続8年、扶養なし)では、6月・12月にボーナスとしてそれぞれ53万円ずつ支給されます。
40歳(勤続18年、妻と子1人を扶養)では、6月・12月にボーナスとしてそれぞれ67万円ずつ支給されます。
札幌市役所の初任給のまとめ
札幌市役所の初任給は、ほかの自治体よりも少し安いです。また、地域手当も安いです。これは、札幌市内の企業の給与水準を調査して決められた結果です。
地域手当が安いのは札幌市の物価が安い証拠です。生活しやすいをポジティブに考えることにしましょう(笑)。
北海道の冬の寒さは厳しいです。暖房代や灯油代がかなり掛かります。そのため寒冷地手当として、10月にまとまった金額が支給されます。官庁では一般的な制度ですが、職員に優しい制度です。
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