最近は40歳でも公務員になれる
市役所の行政職(つまり事務職)で、民間経験者試験が一般的に始まったのは、2005年くらいからです。
それまでは長年就職氷河期でしたので、優秀であるにもかかわらず、不遇な就職生活を送っていた若者が大挙して押し寄せました。そのため、当初はレベルが高く、狭き門という印象でした。倍率は、恐ろしいことに50倍くらいありました。
しかし、多くの市町村で継続的に実施してきた結果、既に、優秀な人材で転職意欲のある人材は概ね転職してしまっており、受験者のレベルがだいぶん落ちてきており、普通の人でも転職できる環境になっています。
北は札幌市から南は福岡市まで日本全国で実施されており、転職市場の人材の土壌が枯れてきたという感じです。
その結果、以前は年齢制限が35歳までなどとされていましたが、現在では、優秀な人材を求めて、年齢制限を緩和している自治体が多くあります。
40歳でも50歳でも公務員になる方法があるのです。実際に合格者も出ています。私の市役所には40代の方の合格者がチラホラいます。また、50代の方はかなり狭き門ですが合格実績はあります。
労働局や労働基準監督署の指導で、「中途採用の募集の際には年齢制限を撤廃するべし」というものが出ていますので、公的部門の一員である市役所も、この指導にしたがっているのだと思います。
余談ですが、労働基準監督署の職員は中途採用の職員が多くいます。新卒の学生には人気薄の職場ですが、一旦、社会人になれば親近感を感じる職場みたいです(笑)。
なお、市役所の年齢制限を撤廃した結果、定年間近の50代の方も受験資格がありますが、現実的には、私の同僚や後輩で、実際にその年代の方が入庁してきた方はごくわずかです。
大手企業の部長職をしていた方でその人脈を活かして市政に貢献しています。かなり特殊なパターンです。
実際に合格者も出ています
実態としては、これから勤務する年数の短い50歳代よりも、若い30歳代の方が合格しやすいというのが実情です。
40歳でも50歳でも公務員試験に合格すると採用される
公務員試験に馴染みのない方には分かりにくいですが、地方公務員になるには、手順があります。
採用試験に合格すると、全員、「候補者名簿」に名前が登載されます。この候補者名簿の中から任命権者(市長、町長、村長、公営企業管理者など)が採用する人を選択して、採用します。
理屈上は、「採用試験に合格して、候補者名簿に登載されたけれども、採用されなかった」ということもあり得ます。
大学新卒の国家公務員の採用試験では、このような事例は多々ありますが、社会人の転職の採用試験では、今まで、採用されなかったということは聞いたことがありません。
近年、候補者名簿とは名ばかりで、搭載されればまず採用されます。心配はありません。翌年の4月1日に採用されます。
試験に合格したので会社に辞表を提出したけど、結果、市役所に採用されなかったということになれば人生失敗になりますが、あり得ません。そんなことをしていれば、市役所の採用部門の信用に関わります。
筆記試験は競争率は5倍くらいで、1次面接は2倍、最終面接も2倍くらいです。これらに合格すれば、候補者名簿に登載され、そのまま全員が採用されます。
公務員試験は公平ではなく平等な試験である
公務員の採用と民間会社の採用との大きな違いは、全員が筆記試験を受験できるということです。志望者が多い場合、大学や予備校などの大きな施設を借り切って、実施されることもあります。民間会社で当たり前に行われている門前払いがないのです。
民間会社では、エントリーシートやWEB試験の結果と称して、筆記試験に進むまでの段階で5倍~10倍くらいに絞っています。
私の前の会社では、エントリーシートでの選考と称しながらも、実態は大学名での選考が主でした。もちろん、全部のESは読んで、優秀な内容であれば三流大学の学生も通しますが、一流大学の学生ならば、ほぼフリーパスで通していました。
これは、これまでのその人物の努力を反映した結果という意味で「公平」だと思います。
私の前職の経験上、感じていることですが、やはり、優秀な大学出身者の方が、優秀な人材、つまり、使える人材の割合が高いです。
採用試験では、露骨に、三流学校はいりませんとは言えませんので、WEBテストやエントリーシートで選抜するというステップを踏みます。不合格者は、今後のお客様になる方々ですので、雑には扱えません。あくまで選考の結果ですという形にしているのです。
私の会社では、通過者が100人の枠の場合は、優秀な大学から90人を通過させて、残りの10人を、エントリーシートの中で特別に光った学生を通過させていました。
三流大学も「平等」に扱うのは無理難題だと思います。エントリーシートだけで10,000枚ほど届くので、ゼロベースで審査するのは無理というものです。
むしろ、一流学校を優遇するこの方法の方が、今までの人生の努力を反映していて「公平」だとすら思います。
WEBテストに至っては、実際、誰が解いているかも分かりませんので、ほとんど参考外です。冷やかしの人を排除するためだけのものでした。
「学歴・勉強と仕事は関係ない」と世の中ではよく言われますが、それは間違いです。私の会社では、人事評価の点数と学歴とは、正の相関関係が出ていました。
高学歴の学生では、変な人だけを落として、普通の人・優秀な人なら採用するという作業です。低学歴の学生では、変な人・普通の人を落として、優秀な人だけを採用するという作業でした。
一方、公務員試験では、こういう門前払いはありませんので、全員にチャンスは回ってくるのです。
公務員試験では、これまでの努力も経験も抜きにして、全員が筆記試験に進めますので、そういう意味では「平等」だなあと思っています。「公平」ではなく「平等」です。
あくまで、試験のスタートラインに立てるという意味で平等というだけで、今後の面接試験も含めて考えると、一流会社や有名会社の従業員の方は、ずいぶんとリードした状態にあることは間違いないとは思います。
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