係長昇任試験を受験できる年齢と合格率
私の市役所では、係長に昇進する方法は2つあります。1つは若くして係長試験に合格すること、もう1つは40歳まで待つことです。
係長試験の仕組みからご説明します。
受験資格は、勤続年数か年齢のどちらかをクリアしていれば発生します。大卒の上級職員は30歳くらいで受験できます。
転職組の経験者採用職員も、30歳を過ぎてから転職した方は勤続2年目には受験できます。20歳代で採用された方も、概ね30歳過ぎから受験できます。
転職組でも、30歳前後で転職した場合でも、大卒職員と比べて、昇任が遅くなることはほとんどありません。
40歳以上になりますと、係長試験に合格していなくても係長に昇任する資格が発生しますので、受験生のほとんどは30歳代です。受験生の90%くらいは30歳代だと思います。
40歳を過ぎている方でも「昇進したい」という意思表示のために合格を目指す方も稀にいます。
手を挙げれば誰でも受験できますが、合格率は10%以下です。難関と言えば難関試験です。ただし、何回も不合格を繰り返している職員もかなり含まれますので、一発合格の職員も結構いたりします。
係長試験の合否は年功序列ではない
公務員と言えば年功序列の横並び主義ですが、係長試験や昇進については、かなりの実力主義です。給料が横並びなだけであって、昇進しなくても年功序列で給料が上っていく仕組みがあるだけです。
この筆記試験が難しくて、法律問題や数的推理、市役所の時事問題など、かなり広範囲に出題されます。
法律や経済一般などは、大卒の公務員試験で出題されるような難易度になっています。上級職員はいわゆる公務員試験の勉強を1回してきているので、ある程度の素地はあるのですが、経験者採用組にはこれがキツイのです。
経験者の採用試験には法律や経済など、専門試験はほぼ出題されません。面接のウエイトが高いのでそういうものを勉強する必要がありませんでした。この結果、経験者採用組には不利な制度になっています。
仕方がないので、基礎からコツコツ勉強するとして、勉強時間は数箇月から半年ほど必要になります。トータルで100時間ほど勉強できれば合格圏内にはなると思います。
筆記試験は択一問題と記述問題があります。択一は何となく勘で答えていくとしても、記述の方は、しっかりとした法体系の知識が必要になります。
日々の業務をこなしながらですので、時間的にはかなりキツイ状況にはなります。また、筆記試験は業務ではありませんので、休日に実施されます。
昇進試験には内申点が重要である
あくまで業務での昇進の試験ですので、内申点も加味されます。勉強ができればそれでいい訳ではありません。
日々の仕事ぶりから課長が内申点を採点します。筆記試験と内申点の合計で一次試験の合否が決まります。
私の市役所では、筆記試験と内申点の比率は1:1です。内申点のウエイトが驚くほど高いのです。だって50%ですよ!頑張って筆記試験の勉強をするよりも、日々の仕事を頑張って、内申点を高くする方法もあるかと思います。
しかし、結局は仕事ができる人は勉強もできる場合が多いので、内申点も高くて、筆記試験の点数も良いという職員が合格していきます。
昇進試験でも面接がある
一次試験の後には、二次試験として面接試験があります。これは口頭試問のように知識を問うものではありません。
質問事項としましては、これからのキャリアプランや部下育成の心構え、市役所の改革の意気込みなどを聞かれます。
日頃から普通に考えていることを、思いのままに答えればよいだけです。
私の市役所では面接試験の合格率は100%です(笑)。一次試験に合格さえすれば、全員が合格します。ただの意思確認のようなものです。
面接試験は平日の業務時間中に実施されます。
合格してもすぐには係長に昇進しない
晴れて係長試験に合格すると、級が上ります。そして、給料も1万円ちょっと上ります。しかし、合格後、すぐに係長になるわけではありません。
係長への任命はあくまで人事異動ですので、全員が係長になるわけではありません。4月の定期異動の際に、試験の合格者の中から必要な人数だけ選ばれて係長に昇任することになります。
前年に合格していて、昇任待ちの職員がいれば、そちらから順番に昇任していくことはよくあります。
昇任試験自体は実力主義ですが、実際の昇任の際には年功序列になるのです。なぜなら、公務員ですから(笑)。
若手職員は昇任試験を受験したがらない
私の市役所のこの係長試験ですが、受験者が年々減少しています。皆さん、受験したがらないのです。つまり、係長になりたくないのです。
係長になりますと、給料は少しだけ増えます。2万円くらい増えます。そして、仕事量は莫大に増えます。
公務員の仕事は出世するほど、仕事量が増えて、残業時間は増えていくのです。
世の中、ワークライフバランスの時代ですが、係長になると過労死ラインを越える残業をする職員も多くいます。
私の市役所の言葉で「係長は人間にあらず」という言葉があります。係員さんは人間様です。しかし、係長になると人間以下の存在になるのです。
業務時間が膨大になるという面もありますし、民間の会社とは逆で、係員はわがまま放題してよくて、係長が尻拭いをするという市役所特有の面もあるためです。
給料はほぼ上らないのに、好んで係長になりたがる若手はいません。係長は不人気ですが、全員がそう言っていると組織として成り立ちません。何とか人の良い若手を説得したり、なだめすかしたりして、係長試験を受験してもらうように仕向けるのです。
自分の意見をはっきり言える若者が増えてきていますので、こういう公務員特有の人事制度もそろそろ限界かもしれないと感じています。
40歳まで待つと昇任試験を受けなくても昇任できる
係長になる方法は、昇任試験に合格する方法と40歳まで待つ方法があると言いました。
そうです。試験に合格しなくても、40歳になれば係長になれるのです。私の市役所では、試験が苦手な方はこれで係長になっています。
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