民間企業では趣味に没頭できない
公務員に転職して、一番変わったと感じることが趣味に対する意識です。民間企業に勤務していた頃は、周りの従業員には仕事が終わってから趣味の世界に浸るという価値観はありませんでした。
私は当時から野球やマラソンを趣味としていて、帰宅後、深夜にジョギングをしたり素振りをしたりと、忙しくしていたのですが、社内でそういうことを言っても全く理解を得られませんでした。変人扱いされるだけでした。
私の会社は、全国転勤で将来管理職になる総合職と、補助的な業務の女性限定の一般職という2種類の従業員がいました。
一般職の女性はほぼ定時で仕事を終えることが多く、プライベートな時間を持つことが許されていましたが、総合職にとっては、「趣味を持つ=悪」くらいの社内の雰囲気があったのです。
許されるプライベートは飲み会くらいでした。社内の人に連れて行かれる飲み会がプライベートなのかどうか甚だ疑問ですが。私の感覚では、普通に業務の延長ですので、嫌々お付き合いしていました。
その飲み会の席で、上司に趣味は何かと質問をしたことろ、「ゴルフだ」と言っていました。「でも、最近言ってないな~。もう3年くらいは行っていない」とも言っていました。
私の感覚では3年間も遠ざかっておいて、趣味も何もないと思いました。毎日や毎週楽しむものが趣味だと思います。
この時点で、この会社の人達とは感覚が合わないなと感じたことをよく覚えています。
公務員は趣味を大切にできる
公務員に転職してからは、趣味の考え方が同じ職員が周りに増えました。と言うか、私よりも、もっと趣味の世界を大切にしている人が多くいました。
仕事帰りにスポーツジムに通っている職員もいました。近所に市営のジムがあって、そこに通うのです。
音楽をしている職員も多く、職員同士でバンド活動をするなど、充実したプライベートを送っているようです。
勤務後にレッスンに通うと言って、職場にサックスを持ってきている職員もいます。民間人的な私の当初の感覚では、「それはやりすぎやろ」と思っていました。公務員は1人1人にロッカーが貸与されますので、勤務中はそこに入れておくのです。
業務後の時間を自由に過ごすことは当たり前のことだと思うのですが、以前に勤めていた会社では、楽器を会社に持ち込むことなど考えられませんでした。
公務員はイクメンになれる
サラリーマン時代は、ほぼ全ての従業員が、子育て関係は女性の役割であると認識していました。
男女共同参画やワーク・ライフ・バランスなど、言葉としては理解しており、会社としてそれを尊重しますよと上辺のメッセージは出していました。
しかし、従業員に求められるのは、子育てよりも会社優先のスタイルでした。子どもが病気になって、当日休を取得する男性従業員なんて考えられませんでした。それは嫁の役割だということでした。
公務員では、このあたりの意識がかなり進んでいます。「男性も育児に参加するべきだ」とまではまだ進んでいませんが、「男性も育児に参加してもよい」という当たり前の意識は共有されています。
私の子どもが病気になってしまい、5日間入院したことがありました。その際、5日間、仕事を休んで看病した経験があります。
前の会社では眉をひそめられそうな行動ですが、市役所ではかなり一般的なことなのです。
「家族の健康や命よりも大事な仕事なんて、この世にはない」という私の考えを胸を張って言うことができる職場の雰囲気があります。ありがたいことです。
公務員は育児関係の休暇が豊富
私の市役所では、いわゆる育児休業ではなく、短期の育児関係の休暇を取得できます。
育児休業は1箇月以上になるなど長期であって、しかも給料も不支給となりますので、男性職員が取得するにはなかなかハードルが高いと思います。
私が取得した休暇は、出産時に3日、その後、育児として5日です。職場でも、取得を励行する雰囲気があります。
そもそも有給休暇が余っていますので、こういう名目ではなくてもよいのですが、いずれにしても取得しやすいのはありがたいことです。
社畜にならず仕事人間から脱却する
私も東京での民間企業での経験が長く、またその会社で社会人としての教育を受けてきました。そのせいで、知らず知らずのうちに、価値観が変えられてきて、仕事人間になってきました。
「仕事人間」というのは、人生における勤務時間の長さで決まるものではありません。実際に、会社員時代の最長残業時間は150時間だったのですが、公務員に転職してからの最長時間は180時間でした。
これだけを見ると、公務員に転職しても仕事人間のままかと思われそうです。あくまで繁忙期には波があり、忙しい時期には懸命に働くというのが公務員です。
ヒマな時期には、ダラダラと付き合い残業をせずに、さっと帰宅して、プライベートな時間を大切にするが公務員なのです。
周りの職員も、会社員時代とは違って、それを尊重してくれます。皆さんも、今、勤務している会社の価値観が全てだと思う必要はありません。
自分の価値観に照らして疑問を感じていた新入社員の時代を思い出して、思い切って転職するのが良い結果につながると思います。
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