楽な課に異動したいなら仕事ができない人だと思わせる
仕事を頑張るとしんどいですが、サボると楽です。そんなの、当たり前です。当たり前体操です。どちらでも同じお給料ならサボりたいと思うのが人情です。
中途採用の転職組でも、数年後には楽な部署に異動していく人も多くいます。どういう経緯でパラダイスに異動していくのかご説明します。
公務員の職場では、仕事の担当割は年度当初に決めてしまいます。一旦、決めますと、途中で変更をすることはありません。
まず、将来的に楽な部署を渡り歩く人の特徴としましては、他人の仕事に決して首をつっこまないということです。
担当業務を一覧表に書き出して、職員に割り当てているのですが、当たり前ながら、書き出しきれていないような、こまごまとした仕事は多くあります。
職場のパソコンソフトをアップデートしたり、入りきらない書類を書庫に運ぶ段取りをしたりです。
こういう仕事は、経験者採用という立場であっても新人ですので、新人が進んで仕事を拾っていくべきです。しかし、これをしないのがパラダイスな楽な部署に行く秘訣です。
1つ目の秘訣は、ズバリ、「落ちている仕事は拾わない」ことです。
採用1年目から指示待ち人間に徹します。自分から困った人に声を掛けて、仕事を取りにいってはいけません。
エクセルを開いたり閉じたりしながら、忙しいフリをして、目を合わせないようにするのです。それを恥ずかしいことと思ってしまう人には無理だと思います。
2つ目の秘訣は、「境界の仕事は拾わない」ことです。
当たり前のことですが、業務というのは明確に種類分けがされているわけではありません。どちらの職員がしてもいいような仕事は結構たくさんあります。
普通はお互いの忙しさなどを見て、その2人の間だけで適切に分配されるものです。
しかし、楽な部署に行く職員は違います。自分の業務だと完全に判別できる業務だけを黙々とこなしていきます。自分の担当業務以外は無視します。
相手と2人で話し合うこともありません。交渉をしない姿勢が一番得をするのです。
他人の仕事をすることを「越権行為なので、してはいけない」と言うのです。しょせんは係員に越権行為も何もないのですが、することは悪いことだくらいの言い方をします。
公務員試験に合格して採用されるくらいですので、基本的に頭はいいです。与えられた業務はできます。しかし、しないのです。
こういう積み重ねを1年間続けていきますと、誰も仕事を頼みませんので、職場のお荷物となって、次の人事異動では晴れて楽な部署に異動できるのです。
1年で人事異動する職員もいる
忙しい課から楽な課に異動したい人の中には、1年目から異動願いを出す人もいます。公務員の人事異動は通常は3年~4年サイクルですが、特に使えない職員だとレッテルを貼られて1年で異動するケースもあります。
特殊なケースですので、かなり強硬に「仕事ができないオーラ」を出す必要があります。私は恥ずかしくてそんなことはできませんが(笑)。
しかし、私の同期の中にも、わざと仕事を雑にこなして、その結果、1年で楽な部署への異動を勝ち取った人もいました。
公務員の給料は仕事の成果ではなく年功序列ですので、忙しい部署であくせく働いていても、楽な部署でのんびりしていても差はないのです。恐ろしい制度です(笑)。
楽な部署を渡り歩く職員がいる
世間では役所の仕事は楽だと言われています。ノルマもなくて、定時で帰れると評判です。実際に市役所の職員の50%はこういう生活をしています。
あまり知られていませんが、市役所の職員数は条例で定められています。全体としての業務量から判断して、職員数が決められています。余剰人員が多いため楽をしているわけではないのです。
半分の職員が楽をしているしわ寄せが、10%の激務の社畜職員にのしかかってきます。忙しい部署でこの10%の職員が毎月過労死基準を超えて残業をしているおかげて、50%の職員が楽をしているのです。
楽な部署に行きますと、驚くことに全員が終始のんびりしています。おしゃべりを楽しんで、定時になるとさっさと帰ります。
周りの職員が全員同じようなキリギリス状態ですので、誰も罪悪感を感じません。他の部署には、自分達がサボっている分をカバーしてくれている職員がいることも知ってはいますが、見ないフリをしています。
こうして感覚が麻痺していって、これが普通だと思うようになって、パラダイスな公務員人生を謳歌できるようになるのです。一度、楽な部署に異動できた職員は、その後もずっと楽な部署を渡り歩けるのです。
係長に昇進すると忙しくなる
私が勤めていた民間会社では、上司ほど早く帰っていて、部下の係員が夜遅くまで残業していました。また、上司が残業していると、係員はなかなか先に帰りにくいという雰囲気がありました。
これが世の中の一般的な会社の実態かと思います。
しかし、市役所では反対なのです。係員はのんびりしている部署でも、係長だけは忙しいのです。職場の産業廃棄物の処分の手配をするとか、市民からのピントのずれたクレームに対応するとか、誰の仕事でもない仕事はたくさんあります。
楽な課の職員は、こういう誰の仕事でもない仕事を無視する職員の集団ですので、係長が尻ぬぐいをして、こまごまとした庶務業務をするはめになるのです。
そして、終業後の退庁時間も、係員から率先して帰宅していって、係長が皆を見届けながら残務の仕事を処理するというのが日常です。
民間企業とは逆で、係長の方が先に帰宅するのがはばかられる雰囲気があります。そのため、楽な部署を渡り歩いている職員は係長に昇進したがりません。
今、私の市役所では係長に昇進したがらない職員が増えすぎて、問題になっています。若手職員は係長試験を受験したがりません。中堅職員も昇進を嫌がります。全体の50%が楽をしていて、今後も楽をしたいと考えています。
公務員は年功序列の給料体系ですので、昇進してもしなくても、あまり差が付きません。自己中心的ではありますが、自分の都合だけ考えれば合理的な考え方です。
そういうわけで、多くの職員は係長への昇進の声が掛からないように息を潜めて、日々を過ごしているのです。そういう行為が恥ずかしくて、ついついヤル気を見せてしまうような方は、楽な部署には異動させてもらえないと思います。
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