なぜこの市役所なのか理由がないと落ちる
日本には多数の市役所があります。転職活動では、なぜこの市役所なのかについて必ず聞かれます。ここで簡潔で端的な答えを持っていない人は落ちてしまいます。
筆記試験がどれだけ高得点でも、いままでの面接が完璧でも、この質問に答えられない人は致命的です。これがダメなら全部ダメという勢いです。
誰が聞いても「ああ、なるほど」と言ってもらえるような説得力のある理由が必要です。
「自分の生まれ育った町で、発展に貢献していきたい」や「今、住んでいる町で、行政側として活躍したい」という理由があります。完璧です。
他の市町村ではなく、この町でという理由が明快です。これ以上ない答えです。
「大学生時代を過ごした町なので」や「父や母の実家のある町なので」も説得力がある答えです。他の市町村では代わりが利かないことが明白です。
「地元の市役所に落ちたので、隣の市役所も受けました」では受かりません。
また、妻の地元や妻の実家という理由もありです。両親の介護のため、妻の実家の近くに引っ越してもなくてはならないというのは簡潔な理由です。
やや弱くなりますが、「仕事で一時期赴任した際、魅力に取り付かれた」や「趣味の登山で頻繁に訪れているうちに、好きになった」もありです。
なぜこの市役所なのかという質問には、簡潔で重い答えが必要です。
こういう理由を持っていない人は、「歴史的な文化が豊富」や「自然の山々が魅力」、「人口が増加していて市に勢いがある」などと、一般的な市の観光PR情報に終始してしまいます。
当然ながら、面接試験で合格する人も、こういう観光PR的なことも述べて、「この町のこういう部分が好き」と受け答えをします。
しかし、その下地として、地縁・血縁という明快なつながりがあるのです。その上で魅力を語るのです。
面接の内容がどれほど良くても、他の市役所ではなくこの市役所を希望している理由がない人は、その瞬間、不合格になってしまいます。
近々、妊娠する可能性があると落ちる
女性に特有な事情ですが、30歳前後で転職しようとしますと、既婚者の場合、妊娠・出産の時期と重なります。
公務員になりますと、育休はかなり長く取得できます。また、子どもが成長した後には職場復帰も容易です。公務員に転職する目玉だと思います。
しかし、転職後すぐに育児休業を取得しそうな人は不合格になってしまいます。
例えば、30歳で結婚3年目、子どもは今はいませんがゆくゆくは欲しいという女性がいたとして、面接官はなかなか合格の判断を下せません。
秋に面接試験を実施していて、入庁の4月には最悪妊娠している可能性をおそれるのです。採用後すぐに数年間休職をするというのは、市役所にとっては非常識で痛手です。
市役所からしたら、今の会社で育休をしっかり取得して、子どもが成長してから転職試験を受けてくださいという感じです。
優秀な女性は多いですが、妊娠・出産の可能性があった場合、低評価になってしまいます。それを理由に低評価にすることはできませんが、トータルで適正がないという評価に落ち着きます。
独身の女性はその可能性がないと判断できますので、全く問題ありません。
パワハラ被害で裁判をしていると落ちる
不幸にもパワハラ被害を受けて転職を決意した人もいるでしょう。最近はセクハラ被害よりパワハラ被害の方が増えてきています。
毅然とした対応で、加害者を訴えている人もいるかと思います。
しかし、自分が今の会社を辞めざるを得ない説明として、そのことを事実どおりに伝えるのは得策ではありません。
公務員も民間会社でもトラブルメーカーを抱えたくありません。同じ社内の人を訴えるような人を採用したくないのです。
いくらそれが正当な訴えで、実際に裁判でも勝ったとしても、訴えた人も訴えられた人も両方トラブルメーカーと捉えられてしまいます。
パワハラ被害というのは、今の会社を辞める明確な理由なので、それを伝えたくなるのは分かります。しかし、転職理由を聞かれた場合には、そんな後ろ向きな理由ではなく、いかに市役所で市政に貢献していきたいかという前向きな理由で固めるべきです。
今の会社での不遇をぶつけても一切良いことはありません。
心の中では市役所を見下していると落ちる
面接試験は会話です。その会話の中で市役所の仕事を見下している姿勢が前面に出てしまう人がいます。
心の奥ではそう思っていたとしても、受け答えの中では普通に対応するのが常識人です。しかし、世の中には非常識な人もいて、周囲の人の仕事ぶりをディスってディスって生きてきた人がいます。
自分が非常識なことをしていると認識できないのです。医学的には認知機能の問題なのかもしれませんが、そういう人が一定数います。
これから自分が転職しようとしている公務員自体も見下して、面接試験の中でもそれがにじみ出てしまうのです。そういう人は、どれだけ今の会社で輝かしい業績を残してきていても、確実に不合格になります。
会話のキャッチボールができない人は落ちる
面接試験は一問一答ではありません。会話の中で自分の良さをアピールしていく場です。
しかし、この会話が苦手な人がいます。特に集団討論で顕著になるのですが、適切なタイミングで自分の意見を言うことができない人です。
いちいち手を挙げて、司会の人に発言の許可を得てから発言する人、そうあなたです(笑)。一人だけ学校の学級会のようなノリで、手を上げたら先生が公平に当ててくれるみたいな感じの人です。
そんな人がいるのかとお思いでしょうが、実際にいるのです。集団討論では、タイミングよく自分の意見を言って、相手に相槌を打ち、必要ならば人の発言の途中でもフォローすることが普通です。
これができないとキツイです。面接試験でも、その臭いが伝わります。聞かれたことだけに答えて、話が広がらないのです。
面接では過不足なく答える必要はありません。雰囲気を読んで、話しすぎてもいいですし、逆に話しすぎたと思ったら、謝って話の方法を修正すればいいのです。それが会話です。
面接で会話ができず、一問一答に終始してしまう人は必ず落ちます。
研究者など職種によっては今の会社でコツコツ頑張ってきて成果を出している人もいるかと思います。しかし、転職試験では厳しい結果になってしまいます。
こういう性格の問題は自分では自覚がないのかもしれません。
落ちた原因が性格の問題なら自覚できない
性格面の問題は自覚ができないという難点があります。会社の同僚も指摘してくれませんので、自覚ができないのです。
もし、私の職場にそんな人がいても、私はわざわざ指摘はしません。逆切れされたり、攻撃されたり、恩をあだで返される可能性があります。
そんなヤベー奴とはできるだけ絡まないようにして、避けて暮らしていきます(笑)。どうせまともな指摘をしても、聞く耳すら持っていないのですから。
ですので、職務経験も十分、条件面でも不備はないのに、なぜか面接試験でいつも落とされるという人は、一度、自分の行動を振り返って傲慢になりすぎていないか考えてみることが必要です。
信頼できる友人に、率直な感想を聞いてみることも方法ですが、友人も気を使って正直ベースでは答えてくれません。正直に厳しい意見を言ってくれるのは親兄弟だけですので、一度聞いてみるのも方法かと思います。
第三者に判断してもらいたければ、地域のジョブカフェで模擬面接の相談に行く方法もあります。ジョブカフェは30歳前後までの人なら誰でも利用できる公的機関です。ハローワークの若者支援版です。
公務員試験に特化しているわけではなく、民間企業全般の就職支援をしてくれます。そこである程度客観的な判定やアドバイスをもらえるかと思います。
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