古い価値観に惑わされない
大企業に就職して、しかも将来の幹部候補である総合職ということになりますと、両親は大変喜びます。親世代の感覚は、夫は企業戦士、妻は専業主婦という価値観のままです。その価値観のままで大喜びしてくれます。
しかし、今の実態は違います。誰も企業戦士になって、家庭と育児を嫁任せにすることなど望んでいません。それって社畜ですよね。
大企業の総合職の身分を捨てて転職するかどうか、迷うと思います。古い価値観があたかも正解かのように語られる世の中ですので、判断が鈍ってしまいます。
大企業で全国転勤で現地の社宅に住んで、残業・残業・サービス残業で、将来は課長か部長に出世をします。これが大企業の総合職です。
高い給料は保証されています。親世代の企業戦士はこれが幸せの象徴でした。
しかし、今は違います。多くの人が気付かない振りをしていますが、これは不幸の元凶です。大企業の総合職で就職できたとして、辞めたいと思ったら、しっかり準備をして転職すればいいのです。
私は大企業の人事部に勤めていましたが、自分の信念に従って市役所に転職しました。自分の人生ですので、自分でしっかり判断することです。
最も美味しいのは大企業の女性一般職である
大企業の職種には2種類あります。総合職と一般職です。この中で貧乏くじを引いているのは総合職なのです。それぞれの特徴はこのようになります。
【総合職】
将来の幹部候補と位置付けられています。当然、全国転勤、無理な残業、サービス残業も引き受けます。将来、課長になれます(笑)。
【一般職】
転勤なしの補助的業務を担当します。女性です。出世はしません。基本的に残業は少ないです。
最も美味しいのは一般職です。女子大学生にとっては、就活の始めに選択する道です。総合職に進むか、一般職に進むかです。
多くの女性は本音では一般職の方がお得だと気付いていますので、一般職の募集に殺到します。すごい競争率になります。
まず、転勤なしが魅力です。ストレスフルな無理な業務も担当しません。補助的な職務が主戦場です。また、皮肉なことですが、出世をしないのも今どきの若者にとっては魅力です。
給料が総合職よりも安いというデメリットもありますが、サービス残業の少なさと有給休暇の取りやすさを考えますと、トータルでお得です。大企業ですので給料水準は総じて高いのです。
そしてほとんどの大企業では一般職の募集人数は極めて少ないので、すごい競争率になるのです。
昔の会社の常識では、一般職の女の子は30歳までに結婚して寿退社します。遅くとも出産のタイミングや、社内結婚した旦那が地方転勤になったタイミングで辞めます。そして、また若い女の子を雇い入れるというサイクルでした。
しかし、昨今の女性活躍、一億総活躍の流れです。退職して専業主婦という価値観は廃れています。結婚しても辞めません。出産しても育児休業を取得します。旦那の転勤は単身赴任で行かせますというご時勢になりました。
いえ、いいことなんですよ。総活躍なのですから(笑)。しかし、新しい若い一般職の入り込む余地がなくなりました。
わずかに出た欠員補充も、近年では、補助的な仕事はほぼ派遣社員でまかなえます。わざわざ直接雇用の一般職を雇い入れる必要性がありません。
そういう理由でものすごい競争率になります。というか、実際には一部のコネ採用しか無理なんじゃないかとも思います。
私の勤めていた会社では、毎年、総合職を40人~50人、一般職を4人~5人採用します。業界でも有力な大企業です。
そして、一般職は全員がコネ採用でした。取引先の会社のご令嬢を採用するに当たって、総合職か一般職かを調査しますが、有名大学の人は総合職を希望する人が多いですが、そうでない人は一般職を希望します。
取引先の大小はありますが、基本的にはご子息を雇い入れて血縁を強化しておけば会社にとって有利ですので、縁故採用はまずまずあります。
私の会社では一般職の募集は掛けていませんでした。コネがある人を個別で採用していただけでした。
最も美味しいのは大企業の一般職です。総合職はその割を食っているただの社畜だと思います。両親は反対するでしょうが、あなたが大企業の総合職を辞めたいと思うのなら、その判断は正しいものだと私は思います。
総合職は会社を支える兵隊である
従業員が全員一般職では成り立ちません。大半は兵隊である総合職である必要があります。全国転勤というのは会社経営者にとって都合がいい制度です。将棋の駒のように人間を動かすのです。
総合職のメリットは給料が高いことだけです。昭和の時代はそれがステータスでした。今の時代でもそれを良しと考える人達はいます。どちらが正解かという答えはありませんが、自分の考えを曲げてまで、昔の生き方に流されるのは明らかに間違いです。
東京勤務はメリットではありません。通勤地獄が待っているだけです。将来出世するのが誇りではありません。戦時中の万歳三唱と同じで集団幻想です。
自分が住む場所も自分で決められないなんて、しかもそれが定年退職まで続くなんて、人間らしい生き方ではありません。
どこに誰と住むかは生活をする上で、最も基本的なことです。疑問を感じたら即行動することです。
一流企業を辞めるなんて言い出しますと、家族にも反対されるでしょうし、上司にも反対されるでしょう。彼らは嫌がらせで反対しているのではなく、本気であなたのことを心配してくれているのです。
彼らなりの価値観にしたがって反対しているのです。しかし、あなたの人生です。古い価値観に流されてはいけません。
男性なのにうっかり一般職の会社説明会に行った奴の話
私の友人(男性)で、新卒の就活の際、一般職=女性という社会の常識を知らずに、銀行の一般職限定の会社説明会に行った奴がいました(笑)。
だって、募集要項に女性限定って書いてないですから。書くと男女の区別になってしまい違反になってしまいます。そんなの、書かなくても常識ですから。
そして、100人くらいいた出席者の中で男性は1人だけで、途中で帰るに帰れず、恥ずかしい思いをしたそうです。これは笑い話ですが、男性であってもワークライフバランスの取れた仕事をしたいものです。
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