水道料金と下水道使用料の滞納にも時効がある
水道代を滞納したままでしたら、ずっと気持ちがすっきりしないかと思います。そこで登場するのが「時効」です。
世の中には、古い料金は支払わなくてもいいよという都合のよい制度があります。これは、いくら請求する権利がある者であっても、しっかり督促したり取立てしない者にはその権利を没収する制度です。
水道料金と下水道使用料では適用法令が異なり、期間も異なります。分かりにくいですね(笑)。
水道料金の時効は2年です。これは民法の職業別の短期消滅時効で定められています。また、下水道使用料の時効は5年です。これは地方自治法で定められています。
ここで重要なのは水道料金の2年の方になります。理屈上は、水道料金だけが時効になっても、3年目以降に下水道使用料だけ督促できるということですが、役所はそんな面倒なことをし続けるほど、きっちりしていません。
水道料金が時効になった時点で、下水道使用料も諦めてしまって、5年の時効待ちになります。
時効の援用の前に債務の承認をしてはいけない
水道料金の2年です。まず、当初納期を過ぎてから2年に設定されます。そして、「初回の督促状」で督促した時点で、一旦、リセットされて、ここから2年になります。
例えば、当初納期が1月1日でしたら、督促されるのは2月1日頃になると思います。ここから2年で時効となります。時効を一旦リセットすることを法律用語では「時効の中断」と言います。
厳密には2年を過ぎただけでは時効が成立せず、「時効なので支払いませんよ!」と主張することで時効が成立します。法律用語でこれを「時効の援用」と言います。時効を主張することです。
これは文書でする必要はなく、相手方の水道局に口頭で言えばよいだけです。
しかし、実際には2年を経過した時点で、水道局から督促されたり折衝させることはもうありませんので、わざわざ口頭でそう伝える機会はありません。自然消滅したと思っていて問題ありません。
世間では間違った説明をしているものもあります。それは、督促されるたびに時効がリセットされるというものです。つまり、永遠に時効は成立しないという説明です。
これは明確に間違いで、時効がリセットされるのは「初回の督促状」だけです。「2回目以降の督促状」にはその効果はありません。
気を付けるべきことは、この他にもう1つ時効をリセットする方法があるということです。
それは、督促をした際に「滞納者自身が、支払うべき料金が残っていることを認めること」です。これは法律用語では「債務の承認」と言います。債務の承認があると、その時点でまたリセットされます。
これは書面でする必要はなく、口頭のやり取りだけで有効になります。「今はお金がないので、来月に支払います。
」や「納付書を失くしたので、再発行してください。」などという会話は全て債務の承認に当たりますので、注意が必要です。
口頭でのやり取りになるので、後になって、言った・言わないの水掛け論になることもあり得ますが、水道局はそうならないように、「何月何日の何時何分に、こういう発言があって、債務の承認があった」としっかり記録を取ります。
書面や録音テープがなくても、有効な時効の中断になります。
破産した場合、支払い義務はあるのか
水道代を支払えないだけでなく、ほかにも大きな借金を抱えていて、いよいよ自己破産する場合、水道代もチャラになるのでしょうか。
水道代というのは、水道料金と下水道使用料のことですが、実は、水道料金だけ破産の対象になるのです。チャラになります。一方で、下水道使用料は税金と同じ扱いであり、破産でもチャラにならないのです。
あまり知られていませんが、国税、地方税など税金は破産でチャラにできないのです。そして下水道使用料もそうなのです。
せっかく破産をしても下水道使用料だけが残ってしまうなんて、何ともすっきりしない話です。しかし、破産をするほど本気でお金がない人に対して、水道局もいくら督促をしても無意味だと分かっているらしく、残った下水道使用料だけを本気で取り立てには来ないようです。
個人再生した場合、支払い義務はあるのか
個人再生では水道代などの公共料金は減額されません。手続きが完了しても、支払わなければ給水停止をされてしまいますので、踏み倒すことは無理かと思います。
わずかながらの利点としては、手続き中には給水停止をされないということくらいです。もし、水道局から予告書が届いた場合には、個人再生の手続き中だということを伝えるとよいでしょう。
水道代を滞納しても信用情報は傷つかない
水道代を滞納したことで、信用情報のブラックリストに載ってしまうかという不安をよく耳にします。将来、自動車のローンやケイタイの分割払いができなくなってしまったら大変です。
これについては、全く問題ありません。自治体で保有している滞納情報は外部に出ることはありませんので、金融機関の信用情報につながることはありません。
シェアする
あわせて読みたい記事
関連記事


