水道料金を踏み倒しできるのか
水道料金を滞納したまま引っ越した場合や、最後の水道料金の納付書が郵送されてきたのに無視して踏み倒そうとしていると、矢の様な督促が送られてくることになります。
その中の文言には、「引っ越し先の水道を停水する場合があります。」や「法的手段に出る場合があります。」と記載されていることがあります。
具体的に、どのようなことをされるのでしょうか。水を止められてしまうのでしょうか。
転居先で停水執行される場合
同じ市町村の中で引っ越した場合など、同じ事業体、つまり、同じ○○市水道局から水道の供給を受けている場合、停水執行される場合があります。
「される場合がある」というのは、具体的には、引っ越し先でも水道を開栓し、個別に水道契約を結んでいる場合には停水執行されることになります。
使用場所が変わっただけで、民民の契約の中で、料金の支払いがないので商品、つまり、水道水を提供できないという理屈です。
「知らない」や「人違い」などといくらゴネてみても、住民票など公の書類で確認されてしまえばお仕舞です。普通の給水停止と同様に、しばらく支払わないでいると、予告書が届いて、最終的な納期を過ぎると、給水停止を執行されてしまいます。
このように、水道代の滞納は引っ越したらチャラになるわけではないのです。
転居先で停水執行されない場合
「される場合がある」ということは「されない場合もある」ということです。同じ市町村に引っ越した場合でも、３階建て以上のマンションでは、受水槽を設置している関係で個別の入居者が個別に水道局と契約しないものが多くあります。
マンションの所有者が一括して水道局と契約し、入居者の水道代は家賃や管理費に含まれているケースです。この場合、引っ越し先では水道局と個別に給水契約を結んでいませんので、停水執行はできないことになります。
同じ市内の近所に引っ越している場合、水道局から近いということもあり、頻繁に訪問督促されます。いくら来られても、水道を止められる心配はありません。相手をしたくなければ居留守を使ってしまえばいいでしょう。
うっかり話をしてしまって、「来月、支払います」などと言ってしまいますと、債務を承認したと見なされて、時効の期日がリセットされます。これを「時効の中断」と言います。
水道局は夜間督促もしていますので、昼間は仕事や学校に行っているので安心と油断していると、不意打ちを受けてしまいます。夜間は部屋の明かりを点けている関係で、心理的に居留守を使いづらいものですので、注意が必要です。
家族名義での開栓すれば止められない
引っ越し先で、家族名義の名前で開栓する人がいます。同一市内など、同一の水道事業者の管轄内の場合、転居先で給水停止ができますので、あえて自分の名義ではなく、親や子どもの名義に変えて、給水契約を結ぶという方法です。
この場合、一緒に住んでいる家族と言えども、あくまで別人ですので、本人に滞納があることを理由として、親名義や子ども名義の開栓を給水停止にすることはできません。
この場合は手出しができないということになります。また、水道法で給水契約を拒むこともできませんので、親名義や子ども名義の契約を拒むことはできません。
水道局の職員の中には、この辺りの知識がなく、「本人に滞納があるのだから、家族名義で開栓するのは違反」などと言って、無理やり本人名義に変えさせようとする者もいますが、これこそが違反です。
水道法上、家族名義での開栓であっても拒めないのです。
大きな注意が必要なのは、引っ越し先で妻名義（本人が妻の場合は夫名義）で開栓する場合です。この場合も同じように給水停止ができないように思えますが、実はできるのです。
水道は日常的な生活に使用するものであって、その料金は、契約上はたまたま夫の名義で契約しています。
しかし、夫婦どちらかをたまたま代表にして契約しただけであって、夫婦で連帯して支払っていく義務があるのです。これを法律用語で「日常家事債務」と言います。電気代やガス代も同じです。
水道局の職員でも正しく理解していない人もいますが、引っ越して家族名義で開栓した場合、妻名義に限っては転居先の給水停止ができるのです。注意が必要です。
他都市に引っ越したら止められない
他の市町村に引っ越して、別の事業体から水道水の供給を受けている場合、全く別会社との契約ですので、引っ越し前の分でいくら滞納料金があっても関係ありません。
脅し文句で「停水」という言葉を記載しているだけで、実際にはできません。
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